米谷優インタビュー:ソチオリンピックを目指す新星

はじめに

スキースロープスタイルの日本代表、米谷優選手が2013年7月からアークのメンバーに加わりました。23歳と若い米谷選手は、フルタイムの仕事をしながら、2014年2月7日に開幕するソチオリンピック代表を目指しています。

スキースロープスタイルとは、コース上に設置されたジャンプ台やジブアイテム(人工の障害物)を利用してアクロバティックな技を競う採点競技。日本ではまだ知名度が低い競技ですが、オリンピック種目となり、これから認知度アップが期待されます。

今回は、自らもスキーオリエンテーリングを愛好するアークコミュニケーションズ代表取締役の大里真理子との出会い、そして、代表入りを目指して臨むワールドカップへの意気込みを聞きました。

取材日:2013年11月

目次

恐怖心を乗り越える練習

米谷優

大里:実は、私もスキースロープスタイルは知らなかったのですが、なぜこの競技を始めたのか教えてもらえますか?

米谷:スノーボードの大会を見に行ったときに、スキーでこんなパフォーマンスができたらカッコいいだろうなぁ、と思っていたら、エキシビションで出て来たんですよ、スロープスタイルの選手が! それがものすごくカッコよくて。見た瞬間に人生が一変しました。あれを運命の出会いというのでしょうね。

大里:モーグルとの違いはどんなところですか?

米谷:まず、技に制限がないことです。モーグルは試技中に頭が2回以上、体の下に入ってはいけないというルールがありますが、スロープスタイルは何回、回転しても許されます。だから、もっと自由に独創的な大技に挑戦できます。それと、バックからでも飛ぶこともできます。ですから、板の両端がカーブしているんです。

大里:度胸のいる競技ですね。

米谷:常に恐怖心との戦いです。恐怖心を乗り越えるには、練習しかありません。ぼく、実は、ものすごく怖がりなんです(笑)。でも、怖がっているばかりで逃げてしまっては後悔します。だから、一生懸命、練習するしかないんです。恐怖心が糧となる競技だと思います。

大里:練習といっても、夏の間は雪がないでしょ。普段は、どんな練習をしているんですか?

米谷:スケートボードやBMXなど、エクストリーム系スポーツの選手がトレーニングに使うウォータージャンプという練習台があります。これはブラシのジャンプ台を滑って、空中に飛び出してプールに着水するものです。ある程度、実際の試技に近い動きが練習できます。それからトランポリンも使って、空中感覚を養います。でも、一番大切なのは、頭で考えることです。空中で回転しているときの視界をイメージしたり、食事をしているときに持っている箸を回して技のイメージを高めたり……。よくボーッとしているっていわれるんですけど、実際はスキーのことを考えていることが多いんです。

米谷優

大里:持久力を問われるクロスカントリー系の競技は、雪の上でスキーを滑る圧倒的な練習量がベースにあって、そのうえで何ができるかが選手の力になるけれど、スロープスタイルは頭の中でイメージすることも重要なんでしょうね。だから、東京に住んでいてもトップアスリートでいることができるんだと思います。

米谷:本当にその通りです。頭の中で自分がその技を成功させるイメージを完成できないと、いきなり雪の上で飛んでも、怪我をするだけですから。夏の過ごし方が本当に大切です。

大里:初めから、いろいろな技ができたんですか?

米谷:自信を持って言いますけど、ぼくは天才ではありません!(笑) ぼくは17歳でこの競技を始めましたが、ほかの選手のように体操やスケートボードなどのバックグラウンドもありません。サッカー少年だったんです。だから、最初はもっと若い子たちのほうがはるかにうまくて、悔しい思いばかりしていました。でも、そこでくじけずに、自分に足りないことを探して、ひとつずつクリアしてきたのが、自分が伸びた理由だと思います。

大里:日本のトップへとジャンプアップしたきっかけはありましたか?

米谷:2010年の「さのさかオープン」に出場したときのことです。この大会で、ある大技に挑戦しようと思ったんです。ところが、周囲の人たちは誰もぼくがその技ができるとは思ってくれていなくて、「できるわけないよ」って。それが本当に悔しくて、コーチとふたりで一生懸命練習して、本番でその技を決めて優勝することができました。あの経験は大きな自信になりました。

1通のメールから始まった関係

大里:最初にメールをもらったのは、2年前でしたよね。アークが、恩田選手(クロスカントリースキー、日本代表選手)をサポートするようになってから、色々なマイナースポーツのトップ選手からのサポート依頼が来るようになっていた頃でした。ところが、「米谷優」をWebで検索しても何も出てこない。まずは自分を知ってもらい、アピールするところからスタートするようにメールでアドバイスしました。

米谷:メールの内容は厳しかったです。「そもそも、君がだれか分からない。自分自身の情報を発信することから始めなさい」って書いてありました。でも、アドバイスをくださる方は今までいなかったので、ありがたかったです。スロープスタイルの選手で企業のサポートを受けている人はいないし、正直言って、何をしていいか、まったく分からなかったんです。それで、すぐにアドバイス通りにfacebookやブログ、twitterを始めました。またアドバイスを求めたら「地元ネットワークを作りなさい」と言われたので、招かれてもいないのに、母校を表敬訪問したり(笑)。

大里:その実行力がすごいですよね。招かれてもいないのに表敬訪問するなんて、普通できないですよね(笑)。

米谷:2013年5月15日にさらにメールを出しました。やれることはやったので、「次に何をしたらいいか、教えてください」と。そうしたら、一度、会いましょうと言っていただきました。

大里:実は、ほかの方たちにも同じようなアドバイスをしていましたけど、実行して、連絡をくれたのは米谷さんだけでした。はじめて会った瞬間に、「あぁ米谷さんだったらアークで働きながらも世界を目指せる、会社も米谷さんの実行力を活かせる。選手と会社がWin-Winの関係になれる」と思ったんですよね。

米谷:会社でお会いした日の夜、メールの着信がありました。大里さんからで「一緒に世界を目指そう」と書いてありました。信じられないくらいうれしかったです。

先輩にネクタイを結ばせた日々

大里:7月からアークで働いてしばらくたったけど、慣れました?

米谷:実は、初めて先輩について営業同行したときに、ネクタイが結べなくて……。

大里:それで、ネクタイ、どうしたの?

米谷:先輩に結んでいただきました(笑)。それからしばらく、何回か結んでもらって、最近、ようやく自分で結べるようになりました。

大里:驚いたのは、先輩の方だったって聞いてますけどね(笑)。

米谷:怒られることも多いですが、楽しく仕事をさせていただいています。スキーの先輩でもあり、会社の先輩でもある堀江さんには、いろいろなことを教えてもらっています。今、担当業務は、営業用のダイレクトメールの作成、アークのWebサイトの作成、潜在顧客開拓の支援などです。それから、クロスカントリーの恩田選手、オリエンテーリングの堀江選手、そして、ぼくの3人でスキーチームを作っているので、そのサイトの更新も担当しています。

大里:まだまだ、勉強することが多いのは確かですが、実行力、実現力を買っています。トップアスリートは、最高のパフォーマンスを得るために、継続して努力をするエキスパートです。自分の強み弱みを把握して練習を工夫し、単調な練習を毎日実行し続けるなんて、容易には出来ません。その能力を活かして、スキー同様にビジネスパーソンとしても成功してほしいと思っています。

米谷:仕事から学ぶことは本当にたくさんあります。例えば、時間の管理。夕方6時までに終わっているはずの仕事が終わらない。どうしてかと考えると、自分のやり方がよくなかったんだと。それが、スキーの技をある時期までに完成できなかったことと、とても似ているんです。仕事のマネージメントを通じて、スキーも上達できるように頑張ります。

ワールドカップ8位で五輪選手に

米谷優

大里:いよいよ、ソチオリンピック代表を決めるワールドカップが近づきましたね。

米谷:はい、これから2014年1月までに3回のワールドカップにエントリーします。最初が、12月16日からアメリカのデンバー、次が1月6日からカリフォルニア、最後が1月18日からのスイスです。日本からは2つの出場枠があるんですが、全日本スキー連盟の選手派遣基準がワールドカップ8位以内です。ですから、この3回のワールドカップのうち、どこかで一度8位以内に入賞すれば、オリンピック代表に決まると思います。

大里:過去の最高順位は?

米谷:9位です。

大里:微妙なところですね。

米谷:はい、でもチャンスはあると思っています。

大里:まずは、目の前にあるソチに目標をセットすること。まだ若く4年後の平昌もあるので、ソチがすべてではないし、そこで息切れしても困ります。でも、今回、日本代表がソチに出場すれば、スキースロープスタイルという競技に注目が集まります。皆の期待を背負いながらも、自分を見失わずしっかりと演技してきてください。実は、まだ、私、スキースロープスタイルを生で観戦したことがないのよね。ソチで見せてね。

米谷:アークにお世話になって、本当によかったと思っています。今は、自分一人で滑っている感じがしないんです。アークと一緒に滑って、代表の座を勝ち取ってきます!

インタビューを終えて

インタビュー終了後の11月27日、米谷選手はアメリカ、コロラド州のトレーニング地に出発しました。「息子のような存在」でもある米谷選手には「絶対に風邪をひかないように!」と母親のようなアドバイスで送りだしました。まだ、表情に幼さの残る米谷選手ですが、世界で戦うトップアスリートの輝きは十分に感じます。

ファンクラブでは、オリンピック出場をかけたワールドカップの模様を速報します。恩田選手に続くオリンピック選手誕生となるか、ご声援をお願いします。

米谷優

2013年11月21日
アークコミュニケーションズ 代表取締役 大里 真理子

最後に

アークコミュニケーションズの『米谷優選手応援サポーターシステム』をとおして、米谷選手を応援してみませんか?

今後、壮行会などのファンイベントや、シーズンオフには米谷選手と直接話せる企画などを計画しています。米谷選手と一緒に、オリンピックの夢を追いかけましょう!

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