Web制作・英語サイト制作・Movable TypeやPowerCMSを活用したCMS構築

日産自動車株式会社様

DATSUNが新興国マーケットを拓く!− 営業用タブレットツールのUXデザイン
日産自動車株式会社様の場合

日本の基幹産業である自動車産業。そのグローバル化の新しいトレンドは新興国マーケットの開拓です。新興国には、インド12億人、インドネシア・ブラジル2億人など、1億人以上の人口を抱える巨大市場が多く、また新富裕層が登場するなど非常に魅力です。このような背景のもと、日産自動車は新興国向けの戦略ブランドとして、DATSUN(ダットサン)を誕生させました。DATSUNといえば、かつて世界を席巻したブランドですが、今回は当時のブランドイメージとは異なるポジションのブランドとなるようです。今回アークコミュニケーションズがご協力したのは、このDATSUNが現地セールスに使用する、タブレットを活用した新しい営業ツールのUX(User Experience)デザインです。
これは、従来商談で使われてきた紙のカタログを進化させたものです。タブレットに置きかえることで、お客様により深く、よりわかりやすく、クルマの魅力を体感していただけます。さらにクルマのカスタマイズや見積などもこのツール上でかんたんに実現し、お客様の購入行動に結びつけやすくすることを狙ったツールです。
今回は日産自動車のDATSUNブランドでの新しい取り組み、販売戦略などをご紹介いただくとともに、この営業ツールについてお話を伺いました。

【プロフィール】
泉 信吉様
日産自動車株式会社 ダットサン事業本部マーケティング・プロダクトプランニンググループ 主管
中川 香織様
日産自動車株式会社 グローバルマーケティングストラレジー本部デジタルストラテジー部 主担
森澤 千寿様
日産自動車株式会社 グローバルマーケティングストラテジー本部デジタルストラテジー部
樗木 翔太郎様
日産自動車株式会社 グローバルマーケティングストラテジー本部デジタルストラテジー部
大里 真理子
株式会社アークコミュニケーションズ代表取締役
佐藤 佳弘
株式会社アークコミュニケーションズWeb事業部長
柴田真一郎
株式会社アークコミュニケーションズ Web&クロスメディア事業部 チーフディレクター

「DATSUN」

大里:まず、DATSUNというのは日産の古くからのブランド名として懐かしさを感じる方も多いかと思いますが、そのブランド復活の背景について教えていただけますか?

泉様:今回DATSUNブランドを投入するのはインド、インドネシア、ロシア、南アフリカの4つの新興国です。南アフリカは例外なのですが、その他の国々ではかつてのDATSUNブランドはほぼ市場参入していなかった、もしくはしていても遠い昔の話で、かつてのDATSUNブランドが復活した、という日本をはじめとする先進国の受け取り方とは大きく異なります。

大里:DATSUNというと、私は古いアメリカ映画などに登場する大型のピックアップトラックを思い出すのですが、今回はそうではないのですか?

泉様:そうですね。かつてのDATSUNとはブランド・ポジションも大きく違います。自動車業界では今後、大きく3つの変化があると言われています。一つ目は「新興国」、二つ目が「環境技術」、三つ目が「小型化」です。DATSUNは、このうちの2つ、「新興国」と「小型化」の流れへの取り組みと位置づけられます。

大里:なるほど、全く違うイメージですね。

泉様:2000年ごろの世界の自動車市場の分布は先進国が6割、新興国が4割という状況でした。しかし、その分布も、今後は新興国が6割に逆転すると予測されています。私たち日産自動車は、これまで、先進国の市場・ニーズに合わせた製品開発を行うことを優先してきましたが、これからは、新興国のマーケットを意識した製品の開発や市場投入も重視する必要があると考えています。その取り組みを行うためのブランドがDATSUNというわけです。

新興国に向けたクルマづくり

大里:新興国のマーケットをターゲットにした車種展開とは具体的にはどういうものでしょうか。

泉様:日産にはNISSAN、Infinitiといったブランドがありますが、これらのブランドではカバーしきれない、初めて新車を購入されるという方々に対する、いわゆるエントリーセグメントにフォーカスしています。

佐藤:新しい市場で、新しいセグメントとは、戦略が非常に難しいですね。

泉様:そこは、どうしてもトライアル&エラーにならざるを得ないと思います。クルマを初めてお買い求めになるお客様に向けて、適した説明・プロセス・サービスをディーラーサイドで提供するわけですが、ディーラーも新規立ち上げなので大きなチャレンジとなります。今回ご協力いただいた営業ツールもそれを可視化するツールとして重要な位置を占めるものと期待しています。

佐藤:新興国の場合、日本のように自動車販売のプロセスが確立されているわけではないでしょうし、いかにエントリーセグメントと言っても安い買い物でも気楽に買えるものでもないので、ご苦労は多いと思いますが。

泉様:いわゆるアフォーダブル、お買い求めいただきやすい適正な価格と言えばいいんでしょうか。それを目指すのですが、現地ではそれなりの家1軒と同じくらいの価格イメージです。消費財ではなく投資対象ですね。たとえば、インドネシアでは政府主導で新しい車両の規格と税制優遇措置が行われています。そのおかげでクルマ市場はずいぶん活性化しています。今回のDATSUNもその規格に準拠したクルマを投入しますから、期待できると思います。また、従来、こうしたエントリーセグメントのクルマの価格帯は130万円くらいからだったのですが、今回DATSUNが投入する「GO」という車種のスタート価格は60万円台からいう画期的な価格を設定し、その点でも市場から注目されているようです。

VisibleでPeace of Mindなタブレットの活用

佐藤:今回のタブレットツールですが、どのような期待をもって企画されたのでしょうか。

泉様:私たちが掲げているキーワードはVisible、わかりやすく、と、Peace of Mind、期待するサービスが経験できる安心感を提供する、です。新興国のお客様の多くは、クルマの購入が初めてです。そうした方たちが試乗するまでに、私たちのクルマにどれだけ理解を深めて関心を持っていただくか、VisibleにPeace of Mindを実現するか、ということが重要です。商談の場なら、従来のカタログでの説明よりもより情報量が多く、体感的で先進的な取り組みが必要だということで、こうしたツールを企画しました。

中川様:セールスパーソン自体も新規採用、しかも自動車業界は初めてという方々がほとんどですので、そんな方々にもきちんと使いこなせて、彼らがDATSUNのブランドやクルマの魅力を伝えることができ、購入に結びつけるツールになることを期待しました。

森澤様:以前から営業ツールにタブレットを活用したいという声はありました。しかし、紙での営業プロセスが確立しているところに、いきなりタブレットに移行せよというのはなかなか厳しいものがあります。DATSUNの場合は新しい市場、新しいブランド、新しい人たちでの取り組みですので、新しいチャレンジには最適ですから、ではトライしてみようということになったわけです。

大里:わたしたちがWebのグローバル化などをお手伝いする際に、新興国の特殊性というのは必ずあって、インターネット環境からユーザーのリテラシーまで、なかなか欧米・先進国とは同じにならないところがあります。また、新しいツールを使う場合には、従来とは異なる課題も出てくると思います。そのようなところでご苦労などありましたか。

樗木様:クルマのイメージをよく魅せることが重要なので、大量の画像データが必要になります。しかし、おっしゃるとおり通信環境は日本のそれと比べると低速だったり不安定だったりするので、オンライン型のネットワークありきの仕組みではリスクが高すぎます。そこで、まずはデータをすべてローカルのタブレットに置くことを前提にしました。さらに、タブレットがこれらのデータを処理しきれずに動きがカクカクする、あるいは、それを恐れてデータ容量を削って画質の悪いものを提供したのではUser Experienceを実現することはできませんから、全員頭を悩ませ、ひたすら試行錯誤を続けました(笑)

柴田:ちなみに、インドやインドネシアではこうしたモバイルツールは浸透しているのでしょうか。

泉様:浸透度はそれぞれの国で異なるようで、インドネシアは世界最大のブラックベリー市場ですし、インドでスマートフォンが普及しているのは一部の層だけのようです。ただ、現状では日本と同じには行かないでしょうが、携帯端末の国産メーカーも出はじめるなど、普及の後押しをする状況も生まれているようですから、そう心配することはないと思います。この業界でタブレットを持ち込んで営業活動をするのは、インドネシアでもインドでも日産が初めてのようなので、これからの端末を先進的に導入することの話題性が、DATSUNのイメージ作りに役立ってくれればと期待しています。

Customer Experienceの実現

佐藤:そこで私たちの仕事の話しに入りたいのですが。

樗木様:最終的なデザインを決める過程で、一度大きく方向性を変えてオーダーし直しました。かなり苦しい決断でしたが、今振り返るとそれもまた楽しかったです(笑)

中川様:初期デザインを確認して、「このツールでクルマが売れるか?」という視点で、より強化しました。販売店をめぐって販売の現場を研究しなおしたり、ユーザーストーリーを細かく作成し、使う人の立場から機能を見直したり。それらをすることで、飛躍的にいいものができたと思います。

柴田:私たちは遷移の設計、画面デザイン、エフェクトなどを担当させていただきました。設計の段階では、Webサイトのように階層化すると現在地がわからなくなるためできるだけ階層を浅くするとか、進む・戻る、での混乱を避けるために戻るのではなくできるだけ閉じてリセットしても成立する構造を提案しました。画面デザインでは、できるだけクルマの大きさや迫力を感じられるようレイアウトしたり、インテリアの中を360°自由にぐるぐる動きまわって体感する機能や、クルマの動きとページ遷移の動きがスムーズに連動する機能を提案するなど、利便性と体感性を両立することに苦心しました。

中川様:今回は、単なるデザインではなくUser Experienceを実現することが重要でしたので、これまでのお付き合いから、アークさんならなんとかしていただけるのでは?と期待して声を掛けさせていただきました。それに十分応えていただけたと思います。

森澤様:設計段階でのコンセプト・仮説の提案は、なるほど!というものでしたし、途中のトライアルアンドエラー(笑)の時も、細かいリクエストにスピーディーに対応してもらえたのは納期の短い中とてもありがたかったです。

樗木様:とても満足のいくデザインをしていただいたと思います。特に、いろいろそぎ落としたシンプルなデザインは光っていましたね。

佐藤:ありがとうございます。こちらとしても、非常にやりがいのあるお仕事でした。私たちの仕事はデザインまででしたが、そこから開発を経て、現在の状況を教えていただけますか。

森澤様:インド、インドネシアでは既にローンチしました。ただし、いくつかの機能追加などに継続して対応しているので、本格的に動き出すのはもう少し先になる見込みです。ロシア、南アフリカでの展開もはじまりますが、ツール自体は完成しているので言語やデータの入れ替えが中心になるでしょう。

中川様:今回のタブレットツールは、NISSANブランドでの展開などの要望も上がっている、いろいろな意味で注目されている取り組みです、まだ走り始めたばかりの取り組みですので、まずはDATSUNでの定着率が上がってから、その先の展開を考えてみたいと思っています

大里:ペーパーがすべてデジタルデバイスに取って代わる時代が来るとは思いませんが、お客様にさまざまな疑似体験をしてもらうという点で、タブレットのUser Experienceはとても有望であると私たちも思います。特に、クルマの世界ではこうした体験をお客様に提供することが次のセールスに大きく貢献するのではないか、という気がします。新しい展開がありましたら、ぜひまたお声掛けください。本日はありがとうございました。

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