対談記事

2015年7月

社外取締役に聞く!アークコミュニケーションズの10年と未来

財務情報とお客様の声から、改善を促していた取締役会

大里:社外取締役の機能は経営者の監督だと言われます。しかし2カ月に1回開かれる取締役会にしか出席しない社外取締役に、どのようにしたら会社の現状を正確にご理解いただけるか、試行錯誤でした。

間瀬:起業当初から事業部ごとの損益計算書の実績と3カ月の予測が提示されていました。創業以来、一度も赤字は出していませんが、予測ベースでは赤字が続く厳しい時期もありました。しかし、数値がガラス張りなので、各事業部のビジネスの特性を充分に理解することができ、社外取締役の立場でも的確なアドバイスができたと思っています。

大里:アークは企業当初から事業ごとに月次決算を行い、社員に情報を公開していたので、その資料をそのまま取締役会用に転用していました。取締役会用に特別に資料を作成していたわけではなかったので、実は簡単でした。

新堀:10年間、社員が月次決算資料を見続けている成果は確実に出ていますね。アークは社員の一人ひとりが自分のしている仕事が会社の利益にどうつながっているのか、常に意識する風土があります。だから社員の皆さんは取捨選択が上手で、アークが色々なことに取り組んでも経営がおかしくならない秘訣は、こういうところにあるのだと思います。

大里:社員ががんばって対応してくれるので、私は気づいていなかったのですが、取締役会で、「大里さんは新しいことを始めるのがお好きですが、既存事業を倍に伸ばすのと、(社員を振りまわして)この新しい事業で同じ売上を稼ぐのと、今どちらを優先すべきと経営者として判断していますか?」と質問され、「あぁ、これが社長の暴走を止めるってことなのかなぁ」と思ったことは今でもよく覚えています(笑)

新堀:社外取締役として、正しい判断をするために、財務諸表以外の情報をどのように入手し活用すればよいのかは考えさせられましたね。アークの外の世界に通じていることは社外取締役ならではの強みですが、やはりアークの内情にもある程度通じないと・・・

間瀬:お客様、派遣スタッフ、社員などからの意見や指摘は、取締役会でもよく知らせていただいていたと思います。今思うと当初の取締役会は、もぐらたたきのように、たまたま起きた個々の事件を通して、そこからアークの内情を推察し、課題を発見し、解決していく手法でしたね。

松崎:確かに一つの事例を深く考察することで、お客様がアークに何を求め、アークはお客さまの期待にどう応えようとしているのか、アークの姿勢がよくわかります。

大里:大小、内外関係なく、出来るだけ具体的な事例を伝えることで、アークへのご理解を深めていただこうと思っていましたから。ただそうすると、どうしても上手くいっていないことの報告や相談が多くなります。「社内事情をあまり知らない取締役から手厳しいアドバイスをいただいてしまったなぁ・・・」と恨めしく思うことも正直ありました(苦笑)

間瀬:なんだか、社外取締役は大里さんに厳しい指導ばかりしていたようですね(笑)

大里:いえいえ、相談相手に随分なっていただきました。私の不安な様子を察知すると、「経営者は孤独だって言うけど、大里さんには私たちがいるからね!」とエールを送って下さいました。社員に相談出来ないことでも、社外取締役になら相談出来ることもあり、心強かったです。

松崎:社外取締役が「お目付け役」としても「応援団」としても機能したんですね。

大里:はい。「社外」取締役と言う響きは、ともすれば離れた所にいる人のイメージがありますが、アークの社外取締役の場合は、もっと近いところにいる人、「戦友」に近いです。また、大里がほどよい図々しさを発揮したので、社外取締役自らが体を動かして、課題解決までして下さったというところが、アークの社外取締役の素晴らしいところです(笑)

松崎:大里さんの真髄発揮というところでしょうが(笑)、社外取締役がどんな実務をしていたのか、私の半年間の経験だけでは具体的なイメージが十分には湧きませんが・・・。