社員インタビュー

2017年1月

社員インタビュー 星 享秀

昨年10月に翻訳事業部 プロジェクトマネジメントチームのマネージャーに就任したばかりの星 享秀(ほし・たかひで)。これから翻訳事業を率いる立場となった星も、入社したてのころは未経験のプロジェクトマネージャー職に手こずりながらも、翻訳者に「育てられた」経験を持つと言います。仕事に対する誠実な姿勢ゆえに社内外から信頼の厚い星の、翻訳事業(翻訳者)に対する熱い想いを聞いてみました。


入社していきなり未経験のPMに

-現在のお仕事の内容を教えていただけますか?

現在の業務は「プロジェクトマネジメントチーム」と言う、翻訳事業部の中のいわゆる"制作部"に相当するチームのマネージャーです。プロジェクトマネージャー(以下、PM)自体は、翻訳プロジェクトの受注後、スケジュール設定や翻訳者のアサインなどを含め、プロジェクトの品質、納期、コストの管理を行います。6人のPMが所属していて、わたしは彼らの仕事を統括する立場になります。1人のPMが月30~40件程度を担当するので、結構忙しいチームです。なので、常に人的資源(リソース)を有効活用できるようアクションプランを立てることが大切になります。

これに加えて、普段から個々の翻訳者とのコミュニケーションも欠かせません。さらに、翻訳者データベース(以下、DB)など情報のシステム化も進めています。これは翻訳者の得意分野などをキーワードにして検索できるDBで、PMが翻訳者をアサインする時に使います。

-どのような経緯で現在のポジションに就かれたのですか?

アークに入社していきなりPMのポジションに就いたのです。しかし実は、それまでPMなどやったことがありませんでした(笑)。手探りで仕事を続けるなか、いろいろな方にお世話になりました。特に翻訳者には多くのことで助けてもらった覚えがあります。当時は仕事をお願いするというよりも、むしろ教えてもらったことの方が多かったかもしれません。

PM職を続ける中、2人目の子供ができた時に「育児休暇を取ろう」と思いたち、代表の大里に相談したところ、快く受けていただきました。自分が一時期いなくなることで会社に迷惑を掛けたくなかったのと、どうせやるならプラスアルファの効果も出したいと思ったので、新たに営業専任職を提案させてもらい、戻ってきた時の自分のポジションを作っての育休突入でした。

ただ実際には、会社に戻った時は配置換えがあり、営業職ではなく元のPMとして戻っています。その後、2013年に翻訳者を管理するリソースマネージャー職と兼務になりました。翻訳者を増やすことで会社のキャパシティを上げながらPMの生産性も上げ、さらに品質も向上させる目的で新たに作られたポストです。社歴が長く、プロジェクトや翻訳者に精通しているという理由で白羽の矢が立ったようです。そして今回の10月の人事で、プロジェクトマネジメントチームのマネージャーに就任したという経緯になります。

手間も時間もかかるがフィードバックが翻訳者を育てる

-翻訳のお仕事で星さんがもっとも大切にされているのはどのようなことですか?

一番重要なのは、わたしたちのお客さまが何を求めて翻訳を依頼されているのかをキッチリつかむことだと思っています。そこがあいまいだったり、そもそも聞けていなかったりすると、お客さまのご要望に納品物の内容が合わなくなってしまいます。

なので、まずはそこを押さえたうえで、お客さまのご要望に合う翻訳者をアサインするように努めています。翻訳者の特性がお客さまの要望に合っているかどうかを見極めたのちに、翻訳者にご説明・ご相談して、うまくマッチングすれば対応をお願いするプロセスを採っています。

-アークが強調する翻訳のクオリティの高さはどうやって確保しているんですか?

アークの翻訳プロセスでは基本的に、翻訳後に第三者チェックを入れてます。チェックが終了したら、それをそのまま翻訳者に戻します。そして、翻訳者がその指摘を精査したうえで最終稿に仕上げ、納品するというプロセスを採っています。このやり方は、創業当初からずっと変わりません。

その昔は翻訳者にフィードバックを戻す会社は大変珍しくて、「翻訳したら翻訳会社に納品して完了」というのがごく普通のプロセスでした。でも、そうすると翻訳者は自分のやった仕事が正しいのかどうか分かりません。この方法を採ることによって、翻訳者は自分の間違いのクセや、お客さまのご要望、よりよい翻訳とは何かということに気付けるようになるのです。

そんなプロセスの中ですごく小さな話なんですけど、翻訳者とメールで連絡をとる際に「メールタイトルを変えないでほしい」といったようなちょっとしたお願いをすることがよくあります。そんな小さなことに即座に対応していただける方って、実は翻訳の仕上がりもどんどん良くなっていきますね。

-"アークらしい"翻訳にまつわるエピソードなどありますか?

先日、専属の翻訳者について、かなり突っ込んだ稼働管理を実施しました。なぜそんなことをしたかというと、その方はとにかく優秀な翻訳者なので、依頼が絶えることなく、また弊社からの依頼をなかなか断らない方なので、結果的に仕事を抱え過ぎて「ギブアップ」という状態になったのです。

そのため、過去の発注実績を精査したところ、小規模な(文字数の少ない)案件が非常に多くあったことが分かりました。そうした高負荷を是正するために、案件当たりの文字数を増やして件数を絞るなどの対策を立てました。ただ、一口に「作業時間を減らせばいい」という話ではなく、翻訳者の収入も確保しながら、健全に仕事を回せるようにと稼働を管理しながら条件設定を見直しました。結果的にそれが今うまく回っている状態なので、いい取り組みになったと自負しています。翻訳者とのつながりも深くなりましたしね。

アーク初の育休取得がマスコミ・大学の目に留まる

-先ほどうかがった育休のお話をもう少し詳しく聞かせてもらえますか?

育児休暇を取ろうと思いたったのは、2009年のことです。大里が「どうせやるならプロジェクトにしよう」と前向きにとらえてくれたので、本案件の準備が急ピッチで進められ、早速、後任の採用活動も始まりました。

自分は、育休の間にブログを書いていました。これが朝日新聞の記者の目に留まって、新聞にとり上げていただきました。さらにこの記事が早稲田大学の先生の目に留まり、早大のゼミで講演することにもなりました。男性が育休を取るケースは当時まだ非常に稀でしたので、自分の行動が少しは社会の役に立ったかと思うと単純に嬉しいことでしたね。

-マネージャーとなり、今後はどのような活動をしていきたいですか?

今見えている仕事としては、リソースとなる翻訳者の数を増やすことが最大の目標ですね。また、その延長線上でPMの生産性を上げていくこと。プロジェクトマネジメントチームが効率的で安全にプロジェクトを管理でき、彼らが元気にプロジェクトを回してくれるのがアークとして一番いいかたちだと思っています。そこに、自分の持っている経験や知識を全部つぎ込んでいきたいと思っています。

プロフィール

星 享秀(ほし たかひで)
自転車が趣味。街中を走るのが好きという。また、普段はマンガを読んだり、映画を見たりする。マンガは少年マンガが中心で、毎週複数の少年マンガ誌を会社に供出して一部のマンガ好きに感謝されている。

私の1本の映画

ブライアン・シンガー監督 『ユージュアル・サスペクツ』(The Usual Suspects, 1995年, アメリカ)
5人の強奪犯を巡って謎の男を探るサスペンスミステリー。見せ方が緻密でドラマチックで、グイグイ引きこまれます。出てくる役者が全員胡散臭くてかっこいいんですよね。ラストのドンデン返しが痛快でした。