私の英語学習法

2015年8月

このコーナーでは、プロの翻訳者として活躍中の方々を中心に、ご自身が経験してきた語学の学習方法や工夫、ノウハウ、また現在も語学力を維持するために行っていることなどをご紹介しています。

第7回:語学学習成功は目標設定能力?(SSさん)
第6回:段階に合ったやり方で(umeさん)
第5回:鍵は多面的アプローチ(Y. I.さん)
第4回:私の英語とのつきあい方-時間が味方(YBさん)
第3回:「精読」と「多読」をバランスよく(S.T.さん)
第2回:英語の大海で漂流しないために、自分の羅針盤を持つ(SAKURAさん)
第1回:自分の専門分野でバイリンガルを目指す(Tedさん)

第3回:「精読」と「多読」をバランスよく

翻訳のための「読む」スキル

英語を学習する理由は人それぞれですが、私の場合は翻訳者としての腕を磨くことが当面の目標です。そのために英語学習の「読む、書く、聞く、話す」の4要素の中で「読む」力をつけることを最優先とし、英文を正確に読解するスキルと、翻訳に必要な情報収集をストレスなくスピーディに行うスキルの向上を目指しています。

読解力を高める「精読」アプローチ

1つ目の読解力の向上については、辞書を引く手間を惜しまず精読することが最善策ではないかと考え、実践しています。主に使用する辞書は英和辞典ですが、そこに載っている語義が必ずしも適切な訳語になるとは限りません。だからといってむやみに日本語をこね回してみても、的確な解釈・訳語にたどり着くことはできません。そこで英英辞典、国語辞典、日英の類語辞典も積極的に活用して、英語表現と日本語表現のギャップをできる限り埋められるように努力しています。紙の辞書ではさすがに限界がありますが、EPWING形式(電子辞書用ファイル)の辞書データと検索ソフトを利用すれば、同じ単語を複数の辞書で一気に調べることも簡単です。辞書によって異なる視点で語義が書かれているため、たくさんの辞書を参照すればするほど単語本来の意味が立体的に浮かび上がります。これを繰り返すことで、文章全体の理解もいっそう明確になると思います。

翻訳作業をしていると、英文の意味は把握できるのにどうもうまく日本語にならないということがよくあります。このような文章には、いわゆる「英語らしい」視点や論理が反映されていることが少なくありません。これらを丁寧に解釈して日本語に落とし込むことで、英語のみならず日本語に対する理解も深めることができます。

手間暇をかけた精読は、記憶の定着にも効果があるのではないでしょうか。地道な作業ですが、このようにして積み重ねたイメージが正確な読解力の基礎になると信じてコツコツ続けています。