対談記事

2012年7月

アビタスが次に考える、グローバル人材

世界でチャレンジするグローバル人材に求められること

大里:ますます需要が高まる「グローバル人材」ですが、「グローバル人材に求められていること」この点について三輪さんはどう考えられていますか?

三輪様:もちろん言葉は大切です。でも、言葉って、発音や文法がパーフェクトでなくても通じればいいじゃない、と思い始めていますね。中国で会った日本人のビジネスマンが面白いことを言っていて「北に出張したときは、いや僕の中国語は南で勉強したから、南に出張したときは、北で勉強したからって、言えばいいんですよ」と(笑)。

大里:自分でも反省しますけど、日本人は完璧主義すぎますよね。綺麗な発音や正しい文法も大切ですが、ビジネスの現場では通じることが目的ですからね。

三輪様:そうですね。それから、グローバルに活躍したいと思う人は、20代のうちに何をしておこうか、30代にするべきことは何か、とタイムラインを引いて、考えることが大切だと思います。20代から30代のうちに、語学+専門知識を身につける、という意識は今後さらに一般的になると思います。米国公認会計士以外にも資格やキャリアを身につける方法はたくさんあります。それぞれが志すジャンルで、グローバルな知識を蓄えて力を発揮する時代だと思います。

大里:ベテラン世代のグローバル化については、どうお考えですか?

三輪様:40代、50代になると、管理職として外国人をマネージメントできる能力が求められるようになります。特にこれからはアジアの人が部下になることが増えてきます。日本国内でも、もちろんですが、北京や上海に行って、管理職として仕事をしなければいけなくなるかもしれません。それぞれの国には、それぞれの生活習慣や考え方があります。言葉さえ通じれば管理職として通用するかといえば、そうではありません。ジェネラルマネージメント力がグローバル人材として必要とされます。

大里:日本はアジアのリーダーシップを取らなくてはいけませんね。

三輪様:そのとおりです。日本は元気がない、と言われますが、どの国もそれぞれ問題を抱えているわけです。総合的に見て日本は決して悪いポジションにいるわけではない。決して悲観する必要はない、と心から思っています。街がきれい、ルールを守る、最先端工場のクリーンさ、技術力、日本製品への信頼感、など誇れる点は多く、これも立派な日本の文化です。自国の良さを理解し意識をした上で、伝えながら、海外でビジネスをするのもグローバル人材の使命です。日本の文化というと、どうしてもお茶やお花など芸術面に目が行きがちですが、ビジネスの分野で世界に伝えたい日本の文化はたくさんあります。もっと自信を持って堂々とチャレンジしたいですね。日本は少子高齢化でマーケットが小さくなる一方、アジアのマーケットが大きくなっている、アジアに出ていかざるを得ないわけですから。

大里:アジアでグローバルに活躍している人というと、シンガポールとか、華僑の人たちの活躍が目立ちますが、これからは日本人のグローバル人材に期待したいですね。日本人でも若い人はものすごくグローバルを意識するようになっています。英語の他にもう一言語を習得しなければ、という意識の高さを、若い世代には感じますね。

三輪様:それはいいですね。

大里:あと10年も経てば、多国語を話し、アジア現地で活躍するグローバルなビジネススキルを持つ日本人がたくさん出てくると思います。すごい勢いで変わってきているので、私も置いていかれないように頑張らないと(笑)。

三輪様:そうですね。アジアのローカルで認められる人材は、求められているし、間違いなく増えていくと思います。

大里:では、最後の質問です。グローバルで戦う強みは? 三輪さんは、ご自身の強みは何だと分析されていますか?

三輪様:何より、好き、ということだと思います。グローバルに成長していく組織を作る、違う文化や、色々な国の人と仕事をする、というのが好きなんでしょうね。もし、アビタスのヘッドクォーターを香港に移すことになったら、これは楽しいでしょうねぇ。ワクワクします。思い返せば、大学生のときに、カリフォルニア大学サンタバーバラ校に1年交換留学していたんですが、そのときの、海外の人たちと一緒に何かをする楽しさ、ワクワク感が忘れられないのかもしれません。

大里:三輪さん、海外にいると本当に楽しそうですものね。海外進出への情熱と、フットワークの軽さは見習うばかりです。今日は、長時間、貴重なお話を本当にありがとうございました。