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現役東大生が初めて代表に挑む、ユニバーシアード初登場のスキーオリエンテーリング

はじめに

2019年3月のロシアで、世界中から選び抜かれた大学生アスリートが参加する冬季ユニバーシアードが開かれます。本大会で、スキーオリエンテーリング競技が初めて採用されることになりました。スキーオリエンテーリング初の日本代表、そして冬季ユニバーシアード初の東大生代表。そんな初物尽くしの目標に向けて、アークコミュニケーションズスキーチームの石原湧樹選手が日々奮闘しています。代表選考決定の直前に、ユニバーシアードや世界選手権大会に向ける石原選手の意気込みを聞きました。

取材日:2018年11月

目次

東大初の冬季ユニバーシアード代表選手へ始動

石原湧樹

大里:石原さんは昨シーズン、スキーオリエンテーリングの全日本選手権(ミドル、ロング)を制し、とうとう日本のトップに立ちましたね。おめでとうございます!

石原:ありがとうございます!

大里:今シーズンは、全日本大会に加え、世界選手権大会、さらに国際大学スポーツ連盟が主催する総合競技大会である冬季ユニバーシアード大会も開催されます。この大会では、スキーオリエンテーリングが初めて採用される予定です。

石原:そうなんです。世界中から選び抜かれた大学生アスリートが集まる「学生のためのオリンピック」と呼ばれている素晴らしい大会ですから、自分としても是非、スキーオリエンテーリング初の日本代表選手となって戦いたいと思います。

大里:選出されれば、初めて東京大学から選ばれた代表選手になるようですね。

石原:それは知りませんでした。母校の名誉のためにも選考会では全力を尽くし、日本代表に選ばれるように頑張ります。

大里:スキーオリエンテーリングがユニバーシアードに採用されると決まった時に、わたし自身は「大学生にこの競技を普及させたい」と強く願い、アークコミュニケーションズスキーチームとして各大学のスキー部にユニバーシアード参加を鼓舞するダイレクトメールを送ったんです。

石原:それが岩手大学に在学中の兄(石原拓巳:2017年世界選手権大会(ロシア開催)の日本代表)のところに届き、まず、兄がスキーオリエンテーリングを始めました。彼が「ロシアに行けるかもしれない」と誘ってくれて、大学1年生のシーズン終わりに初めて大会に臨みました。その時は、まだどういう競技なのかもわからず、とにかく「ロシアに行ってみたい」と言う希望からだけだったのですが(苦笑)。

大里:初めて出た大会で、スタートしてすぐにウロウロしている姿を目撃し、どうなることかと思いましたよ(笑)。

石原:そうですね、その時は全然まともに競技ができませんでした。それが悔しくて、「ちゃんとレースをしたい」と思ったんです。次のシーズンになって、少しずつレースができるようになり、そうなると俄然面白くなりました。必死に練習したお陰で昨シーズンは優勝することができ、とても嬉しく思っています。

大里:わたしのダイレクトメールがキッカケで日本代表選手が育ったかと思うと感無量ですね。

教科書は完全理解。短い時間に集中

石原湧樹

大里:北海道のご出身ですよね? クロスカントリースキーはいつから始めたのですか?

石原:はい、遠軽町白滝の出身です。オホーツク海より少し内陸に入った、旭川から東に100kmくらいのところです。JR石北本線沿いに細長く伸びた市街を有する北海道の典型的な田舎町で、住んでいた当時で人口1000人強の本当に何もないところです。白滝はクロスカントリースキー(クロカン)が盛んで、わたし自身は幼稚園のころからすでに板を履いていました。「白滝クロスカントリークラブ」に入り、中学3年生の時には北海道大会で4位にまで入りました。

大里:高校はどちらに進学したのですか?

石原:旭川東高校です。高校にはスキー部がなかったので、陸上部に入りました。ただし、夏だけ1500mを中心に競技し、冬は陸上部を休んで個人的にクロカンに取り組んでいました。家の近所に、ほかの高校の先生ですがクロカンをやっている方が住んでいたので、その人に教えてもらっていました。そのころにはクロカンが自分の生活の欠かせない一部になっていました。

大里:その後、受験して東大に現役合格することになるのですが、受験の際に勉強とスキーや陸上の練習は、どうやって両立させたのでしょうか?

石原:部活をやっていて「時間がない」と言っても、高校ですと遅くとも午後7~8時には部活が終わり、帰ってご飯を食べてからお風呂に入っても、せいぜい午後9~10時くらいなので、勉強する時間はあります。ただ、限られた時間で勉強するので、漠然と勉強するわけじゃなくて、自分の頭で深く考えながら勉強するようにしていました。授業もできる限りちゃんと聞こうとはしていたのですが、練習の疲れでどうしても眠くなってしまい……(苦笑)。しかし、もし寝てしまったとしても、必ずあとで教科書をすべて見返し、一言一句、完全に理解するようにしていました。

大里:いつごろから受験勉強を始めたのでしょうか?

石原:本格的に始めたのは、陸上部を引退した高校3年生の夏からです。その時点では、まだ東大入試合格レベルに成績が全然足りていなかったのですが、「どうせならトップを目指したい」と持ち前のチャレンジ精神が頭をもたげて「頑張れば行けるかもしれない」と信じて覚悟を決めました。結果論かもしれませんが、少ない勉強時間でも集中することによって、そうした成果を出せたと言えるかもしれません。

東大スキー部で主将を担当

石原湧樹

大里:無事、東大に合格し、早速スキー部に入部したと聞きましたが。

石原:スキー部に入ることは最初から決めていました。

大里:スキー部ではどのような目標を立てましたか?

石原:高校時代に1年間のブランクがあったので、ほかの大学で大会に出ている人たちには到底太刀打ちできないことがわかっていました。そこで、自分のできるところでどれくらい戦えるかとにかくやってみようと思い、「インターカレッジ(インカレ)1部の人たちに1人でも多く勝つ」という目標を立てました。ところが、音威子府(おといねっぷ)のスプリント大会に出てみたところ、1部の人たちの大半と勝負できるくらいの実力があることに気付いたので、もっと頑張ってやってみようと思いました。

大里:より上に行くためにどういう努力をしましたか?

石原:授業が5限まであると授業の終わりが午後6時半になってしまうので、練習量という意味ではすごく少なくて、インカレ1部の人たちに比べて見劣りがしてしまいます。ただ、大学の長期休みは結構長く、そこでかなり時間が取れるので、合宿に入って集中的にトレーニングをするようにしました。また、ウェイトトレーニングを始めたことで身体がかなり変わりました。その成果は間違いなく今、出ていると思います。

大里:スキー部では主将をなさっていたと聞きますが、スキー部をどのように舵取りしていたんですか?

石原:「部全体で何か目標を持って」と考えるよりは、部員みんなが「スキーがうまくなりたい」「どの大会で勝ちたい」といったモチベーションを持って集まれば、必然的に強い部になると思っていました。基本的には部員が自由に動けるようにと、ガミガミ、アレコレ言わずに、自分のやるべきことをやってもらうようにしていました。その結果、部の雰囲気が良くなり、部員自身が自分で考えて動けるようになったと思います。

無人の荒野で2週間の岩石採集

大里:今、大学では何を専攻しているのでしょうか?

石原:今は理学部で地球惑星環境学科に所属していて、その中でも地質学と地球化学を勉強しています。地質学というのは、外に出て実際に地質を調べて、岩石を採ってきて研究する学問です。また、地球化学では、岩石の中にある元素を調べることで、地球の黎明期に生物が存在したかどうか、そしてそれがどんな生物だったのかを調べる研究をしています。

大里:実際にどこかに出かけて岩石採集をしてきたのですか?

石原:はい。カナダのラブラドル半島北方にヌブアギトゥック表成岩体と呼ばれている、だいたい38億年前くらいにできたと言われる地質があります。約46億年前に地球ができたと考えると、現在わたしたちが調べることができるもっとも古い岩石の一つと言えます。今年の8月に、そこで研究室の人たちと一緒に調査をしてきました。

大里:毎日どのような生活をしていたのですか?

石原:人が誰もいなくて、人工物が何もないところにテントを張って、毎日川から水を汲んでくるようなキャンプ生活をしていました。いま思い返すと、こうした大自然の中での非日常的な体験が楽しくて仕方なかった記憶が蘇ります。採った石の総量は1.5トンくらいになったと思いますが、それを日本に送って研究しています。期間は、準備や荷物の発送、片付けなど含めてだいたい3~4週間くらいでしたが、自分は大学院入試のために途中で帰ってこなくてはならなかったので、海外にいた期間はせいぜい2週間くらいでした。カナダから帰国して早々(翌々日)に試験を受けなければならなかったので、夜中にテントの中でヘッドランプを付けて勉強していましたね。

頭をフル回転させる魅力

石原湧樹

大里:今さらですが、スキーオリエンテーリングとはどういった競技か簡単に教えてもらえますか?

石原:スキーオリエンテーリングとは、クロカンのスキーを履いて行う競技です。レース直前に地図を渡され、その地図にチェックポイントとそれを巡る順番が示されているので、スタートから順番にチェックポイントを通過してゴールするまでのタイムを競うスポーツです。世界選手権もあれば、ワールドカップもあるのですが、2019年には初めて冬季ユニバーシアードに新種目として採用されることになりました。

大里:どういうところが魅力ですか?

石原:それまで自分がずっとやってきたクロカンは、ただひたすら速く滑ることが大切。しかしスキーオリエンテーリングは、自分で考えてルートを選び、正確にナビゲーションしながら滑らなければならない要素が大きく、頭をフルに使いながらレースすることが大変面白いと思いました。

大里:ナビゲーションのスキルはどうやって磨いているのですか?

石原:大会などのレースに出る経験が一番役に立つと思います。ただ、それも限られるので、机上で考え方を学んだり、冬季にはマップホルダーと地図だけを着けてクロカンのコース上でレースを模したようなトレーニングをしたりもします。

大里:アークコミュニケーションズスキーチームに入って、他競技の人たちとつながりができたと思います。なにか刺激を受けたことはありましたでしょうか?

石原:恩田さん(恩田祐一選手:クロスカントリースキー)も泰成くん(山本泰成選手:スキースロープスタイル)もオリンピックに出ている日本のトップ選手で、特に恩田さんは競技に対する姿勢の面で自分などよりずっと真摯に取り組んでいるので、大変尊敬しています。競技に対する姿勢や、競技と社会との関係などまで考えているところは、しっかり見て学ぶべきと思いました。以前より、アークコミュニケーションズはオリンピック出場選手が集まる有名な会社と認識していたので、そんな会社のスキーチームに所属し、インターンとしての経験もできることは大変嬉しく思っています。

貪欲に攻められるだけ攻める

山本泰成

大里:これから、ユニバーシアードや世界選手権大会の日本代表を決める選考会がありますが、日本代表を勝ち取るためにどのようなことをしようと考えていますか?

石原:まずは、チェックポイントをうっかり飛ばしたりして失格にならないことですね。あとは、「日本代表になるためにやる」というよりは、ユニバーシアードや世界選手権で良い成績を残すためにやっていけば、必然的に日本代表になれると思っています。

大里:そのために今、どういう努力をしていますか?

石原:クロカンの面で言うと、速く滑れるように体力や筋力を強化しています。それ以外に、地図読みの机上練習をやっています。机上で世界中の難しい地図を見て、ルートを検討するなどのトレーニングに励んでいます。

大里:ユニバ―シーアードの日本代表になった場合、どうレースに臨みたいですか?

石原:テレイン(競技エリア)は、2017年の世界選手権大会とは山の反対側にあって2年前とは違うんですけれど、地形は似ていて、急斜面が多くテクニカルなコースであることはわかっています。それを意識して冬季トレーニングをします。今までのように普通に練習してレースに出ても勝てないと思うので、貪欲に攻められるだけ攻めるように臨みたいと思っています。

大里:ずばり、ユニバーシアードの目標は?

石原:入賞を目指したいと思っています。

大里:ユニバーシアードの先の目標や進路などについてはどう考えていますか?

石原:スキーオリエンテーリングで言えば、世界選手権で入賞することを生涯の目標にします。進路は、東大の理学系研究科 地球惑星科学専攻に進学が決まっているので、これから始まる大学院の2年間は競技と研究に打ち込みたいと思っています。さらにその先、もし研究に人生を賭けてもいいくらいに惹かれたら、研究職も考えたいと思っています。ただ、現在、アークコミュニケーションズでインターンとしてお仕事をさせていただく中、次第にビジネスにも興味が出てきたので、そうしたことも含めて自分の将来を考えていきたいと思っています。

大里:期待しています。まずは冬季ユニバーシアードの日本代表を目指して頑張ってください。

インタビューを終えて

石原湧樹

普段、淡々と話すことの多い石原選手ですが、トレーニングの話をしているときに「僕は鉄を食べる細菌のようになりたいです!」と目を輝かせて話し出しました。

地球誕生の初期にいた生物は、我々が有機物の食べ物を食べて酸化してエネルギーを得ているように、鉄を食べて酸化してエネルギーを得る細菌だったと考えられているそうです。

流石、アカデミアXスポーツを標榜する、石原さんらしいコメントと私は思いましたが、残念ながらその場にいたメンバーからは鉄を食べる細菌とトレーニングの過酷さはすぐさま結び付かず、共感を得られませんでした(笑)。

どんな過酷な状況にも耐えて、思いもかけないものまで成長の糧に出来る石原さんに、皆さん、エールを送ってください!

2018年12月7日
アークコミュニケーションズ 代表取締役 大里 真理子

最後に

アークコミュニケーションズの『石原湧樹選手応援サポーターシステム』をとおして、石原選手を応援してみませんか?

今後、壮行会などのファンイベントや、シーズンオフには石原選手と直接話せる企画などを計画しています。石原選手と一緒に、夢を追いかけましょう!

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