社員インタビュー

2017年7月

社員インタビュー キンバリー モーガン(Kimberley Morgan)

高校ではフランス語とスペイン語、ラテン語、独学でオランダ語を学び、大学では日本語を専攻、さらにここ最近、中国語を学習し始め、韓国語講座も狙っているという真正"語学オタク"のキンバリー モーガン。アークでは、その優れた言語能力とともに、クライアントの意図を的確に把握する才能も発揮して翻訳・ローカリゼーションのプロジェクトマネージャーを務めています。
アーク入社までにたどった経緯から、仕事のやりがい、今後チャレンジしていきたいことなどを聞いてみました。


島根で国際交流員を務める

-アークコミュニケーションズ(以下、アーク)に入社する前のバックボーンを教えてもらえますか?

イギリスのマンチェスター大学で日本語と数学を専攻しました。出身はリバプールです。子供のころから外国語を勉強するのが好きで、高校ではフランス語とスペイン語、ラテン語を習ったのですが、大学に入ってヨーロッパ以外の言葉に挑戦したくなり、日本語を学びました。また、高校の時にもイブニングスクールで日本語を少し学んでいて、それも大学で専攻しようと思うキッカケでした。

-初めて日本に来たのはいつですか? また、最初はどのようなお仕事に就いたのですか?

初めて日本に来たのは大学3年生の時です。イギリスの大学で外国語を専攻する場合、3年生の時に留学が必須となります。そこで、わたしは北海道大学に留学し、1年間日本語を中心に勉強しました。せっかく日本語を学んだので、少しでも日本で活躍したいと思い、卒業後も日本で働く決心をしました。

就職は日本語を活かせる職業ということで、JETプログラム*に応募しました。JETプログラムで働く外国人のおよそ90%は英語教師の仕事(外国語指導助手)を選びますが、わたしは"国際交流員"という仕事に就き、地方自治体で働くことにしました。この仕事には、高い日本語能力が求められます。勤務地は島根県浜田市で、そこで2年間働きました。

* JETプログラム:「語学指導等を行う外国青年招致事業」(The Japan Exchange and Teaching Programme)の略称。地方自治体が総務省や外務省、文部科学省、一般財団法人自治体国際化協会(CLAIR)の協力の下に実施する事業である。海外の青年を招致して、地方自治体などで国際交流業務と外国語教育に従事させることで、地域レベルでの国際化を進める目的で作られた。

仕事は"国際交流"なので、国際交流に関するあらゆることをしました。島根のローカルなコミュニティにイギリスのことを紹介し、浜田市に関係のあるさまざまな翻訳と通訳をしました。また、浜田市はブータンと交流があり、その関係でも翻訳や通訳にかかわりました。ブータンにも行ったことがあります。最後の1年間は、社会的にインバウンドが盛んになった時期で、それまでほとんどなかった英語の観光資料などを最初から作ったりしました。

-国際交流員としてどんな貢献ができましたか? また、その時に印象に残ったエピソードや経験などはありますか?

一番貢献できたと思うのは、英語で紹介されることがほとんど無かった浜田市を、例えば伝統芸能である石見神楽などを絡めて英語で紹介・解説したことです。伝統芸能の紹介のために、京都の祇園祭にも行きました。

そんな中、わたしにとっては大変なエピソードが一つありました。通訳ですごく大きな間違いを犯してしまったのです。浜田市にブータンの研修生がやってきたので、歓迎会を開くことになりました。会場で「浜田に来た感想はどうですか?」と聞いたところ、彼は「It's like heaven(天国のようです)」と言ったのですが、わたしはそれをうっかり間違えて「地獄のようです」と訳してしまいました(笑)。すぐに気付いて、「すみません、『天国』でした!」と言い直しましたが、会場は爆笑の渦に包まれてしまいました。これは絶対に忘れられないエピソードです(笑)。

そして、2016年8月に任期満了となりましたので、アークに応募して就職しました。

ネイティブならではの細やかでかつ迅速な対応

-現在やっているお仕事を簡単にご紹介してください。

翻訳のプロジェクトマネージャーという仕事をしています。クライアントから翻訳の相談を受けてから最後の納品まで、翻訳のあらゆるプロセスをコーディネートする立場です。クライアントから翻訳案件が来たら、翻訳物を読む人はどのような人なのかを考えて、案件にふさわしい翻訳者をアサインし、翻訳者から上がってきた原稿の品質を管理する仕事です。英訳文の中にあまり一般的ではない表現や言いまわしが現れた場合は、翻訳者と相談して別の表現に変えてもらうことで、わたし自身が納得できる品質にしてからクライアントに納品するようにしています。

時々、クライアントから英語について質問が来ることがあります。普段は翻訳者に答えていただくのですが、もう少し追加の説明が必要と感じた場合は、わたしが補足するようにしています。これは、ネイティブならではの対応だと思います。翻訳者と連絡が取れない時でも、わたし自身が答えられるケースが多いので、スピーディーな対応が可能です。

-お仕事をやっていて、この仕事の面白いところや、やりがいは何ですか?

クライアントにはグローバルに事業展開する会社が多数あり、こうした会社に貢献できることにすごく感動しています。それぞれの会社の業務について学ぶ機会も多く、そうした点も嬉しく感じています。

一番楽しいと思っている仕事は、「日本語の構造にこだわらずに、自然な英語、魅力的な英語に訳してください」という依頼です。そんなお仕事の中で、すごく高い才能を持っている翻訳者さんと出会えるのはとても嬉しいことです。原稿と訳文を見比べて、どこをどうしたらこういう風に訳すことができるのかわからない、非常に高いレベルの翻訳に出会うことがあります。こうしたコピーライターのような仕事を見ると、いつも感動してしまいます。

もっと語学を!

-趣味は何ですか?

語学です(笑)。
今、中国語を学んでいます。最近は平日の夜に中国語の講座に通っています。今月に入ってから、さらにフランス語の会話サークルにも通い始めました。その語学学校では週末に韓国語の講座も開かれているので、今度は韓国語講座にも通いたいと思っています。

語学以外ですと旅行ですかね。日本だと、まだ東北地方と北陸地方に行ったことがないので、今度行ってみたいと思っています。海外ならば、カンボジアとミャンマー、ラオスでしょうか。インドにも行きたいです。あとは、クラフトビールがすごく好きです。東京のいろいろなクラフトビール専門のバーに行くのを楽しみにしています。中でも一番好きなのは、大阪の「箕面ビール」です。ちょっと高いんですが(笑)。

-今後、どのようなスキルを伸ばしていきたいと思っていますか?

せっかく日本にいるので、日本語の能力をさらに高くしていきたいと思っています。例えば、文化的な言葉も学びたいと思っています。今のところ、歴史や宗教に関する日本語がよく分かっていません。日本の文化に対する理解を深めると同時に、日本語能力の向上を図りたいと思っています。

-将来的にどのようなお仕事にかかわっていきたいですか?

今後かかわっていきたいのは、登録している翻訳者さんをもっと増やしていくことです。翻訳キャパシティを増やすことが大事なのはもちろん、これが結局アークの翻訳品質の向上につながると思っているので、最近は積極的に新しい翻訳者の方にお願いするようにしています。新しい翻訳者の方には、登録時に私も同席してインタビューをおこない、その翻訳者の強みや目指す方向を直接聞きだし、その方により合ったお仕事を依頼できるようにしています。それはお客様が満足いただける高品質の翻訳をご提供することにもつながっています。これからもよりお客様のご要望にお応えできるよう、努力していきたいと思います。

プロフィール

キンバリー モーガン (Kimberley Morgan)
1991生まれ。イギリスのリバプール出身。マンチェスター大学卒業後、2年を島根で過ごした。2016年にアーク入社。趣味は勉強、旅行、クラフトビール。

私の1本の映画

マーク・ウォーターズ監督、リンジー・ローハン主演『ミーン・ガールズ』(Mean Girls, 2004年, アメリカ)
アメリカの高校を舞台にしたコメディ。ソーシャルなヒエラルキーや人間関係が面白いから。会話で出てくるセリフをよく日常会話で使います。