トルクメニスタン・地獄の門「アウトドア派宣言!」|翻訳者派遣会社が送るエッセイ 未知しるべ

翻訳者派遣会社が送る、世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ

トルクメニスタン・地獄の門「アウトドア派宣言!」

未知を求めて世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ。今回はトイレシリーズ第三弾、「こんな景色の中でトイレできる幸せ」を感じた瞬間です。

トイレシリーズは前回で完結のはずだった。

しかし、トルクメニスタンから帰国した今、第三弾を書かないわけにはいかなくなってしまった。

カラクム砂漠が国土の85%を占める砂漠の国、「中央アジアの北朝鮮」と揶揄される大統領による独裁かつ閉鎖的な国。そして最近では40年間燃え続けるガスクレーター「地獄の門」がテレビで紹介され、注目を集めつつあるトルクメニスタン。
招待状がないと観光ビザが取得できない、自由旅行がいまだ解禁されていない国だ。解禁を待ちたいところだが、「シリアの如き状態になって後悔するよりは、自由旅行ができずとも国内情勢が安定している今のうちに」と渡航を決めた。

ウズベキスタンから陸路で国境を越え、かつては中央アジア一帯からペルシアまでを支配したホラズム王国の古都クニャ・ウルゲンチ(「クニャ」は「古い」の意。ペルシア語に由来する「クフナ・ウルゲンチ」と表記することも)を見学し、砂漠の道を車で走ること4時間余り。ぽっかりと空いたクレーターが現れた。太陽フレアの如き赤光を放ち、車内から見る景色は地球上ではないようだ。車から降り、クレーターに一歩近づくごと、激しい風は熱風へと変わり、その実体があらわになる。

その日の宿は、地獄の門からほど近い砂漠のテント。シェフに変身したドライバー氏がつくる絶品のバーベキューとサラダを食べ、星空の下、持ち込んだウォッカを友人と酌み交わす。トイレ小屋はテントから100mほど離れたところに設置されているが、使ったのは最初の一度だけ。夜の帳が下り、周囲に広がるのは暗闇ばかり。
トイレ小屋まで歩いていくまでもない。それに水が流れるわけでもないトイレ小屋より、星空の下で用を足した方がずっと気分がいい。

周囲に民家の一つもない、人工的な明かりもない。星を見ているのか、見られているのか...。地獄の門はもちろん刺激的だが、この状況もなかなかに刺激的だ。

夜が開けてみれば、さすがに「どこでもトイレ」とはいかないが、砂丘を上り、一山越えれば、そこは手つかずの砂漠。ショロっとした灌木がわずかに生え、処女地であることを示すように、砂の上には鳥の足跡が規則正しく刻まれている。
乾いた大地に小水はあっという間に吸い込まれ、"おつり"をもらう心配もない。ちなみに、おつりとは排泄したものの反動で、ポッチャンと便器内の貯め水が跳ね返る現象で、衛生状態が優れないエリアでは感染症の原因にもなるものだ。

話が横道にずれてしまったが、しゃがんだ私の目の前には、ただただ広大な砂漠。有名な吉野の桜を表現した「一目千本」という言葉があるが、さしずめ「一目億粒」というところか、いや砂粒は億では足りないだろう。とりとめのないことを考えながら、一人にやつきが止まらない。

地獄の門を見に来たはずが、いや確かにそれはそれで感動したのだが、なぜだろう。この何もない景色に、ただ排泄しているだけの状況に、より大きな満足を感じてしまうのは。

「トイレはアウトドアに限る」。もちろん、それができる状況があることが大前提だが。テントに戻り、カメラを持ってもう一度砂山を上り、何もない景色をパチリ。私だけの思い出を胸に、首都アシガバードに向けて出発した。

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