社員インタビュー

2011年3月

社員インタビュー 馬場 浩昭

最近の大型翻訳プロジェクトに必ず参加している人といえばこの人。
翻訳チームの制作担当マネジャー、馬場です。
スタッフの採用・新人教育に、個性派メンバーが揃う部内のマネジメントにと、細かな気配りとソフトウェアに関する幅広い知識を活かし、チームを引っ張る馬場の素顔に迫ります。

パソコン普及前夜、ローカライズ業界で翻訳の大切さに目覚める

−ソフトウェア業界に詳しく、ITは馬場に聞け、というイメージです。前職はエンジニアですか?

はい。ソフト・ハードともに扱っている会社におりまして、海外製ソフトの日本語ローカライズ、販売、サポートなどを担当していました。
当時はまだMS-DOSの時代、ITの翻訳・ローカライズも質が高いとはいえない時代でした。
思えばそこで翻訳・ローカライズに興味を持ったのかも知れません。「ちょっとこれは...さすがに何のことかわからない!」と、自分で翻訳したりしていました。

−当時の、質の高くない翻訳とは具体的にどういうものですか?

バックグラウンドをまったく無視した訳文ですね。パソコンが一般に普及する前の時代ではありましたが、明らかにそのソフトを一度も使用したことのない、場合によってはパソコンの操作も知らない人が、翻訳の経験があるから、というだけで訳しているのかな、と思っていましたね。
直訳で目的語などもすべて訳出するので、「その」「あの」が頻出し、結果、何をいっているのかまったくわからなかったり(笑)、今にして思えば、つらい時代でした!(笑)

−思いあまって自ら訳してしまったのが、翻訳との接点なのですね。

はい。当時は翻訳会社ではなく、個人に頼んでいたのですが、実際に操作をして、訳し直したり、書き直したりしていました。訳だけではなく、新たに「日本語版を作る」という感覚です。
業務では、翻訳・ローカライズに加えてカタログ制作、広告制作、サポートも担当していましたので、サポートに来るユーザーからの問い合わせの多い箇所をわかりやすく作り直していました。
なので「クライアントの立場から見た翻訳」については、それなりに思うところがありますよ(笑)。

アークのプロジェクトマネジャー(PM)は自立して動ける。

−そのときに感じたローカライズの面白さと難しさが、現在の翻訳プロジェクトマネジャー(以下「翻訳PM」)につながっているのですね。
現在は制作担当マネジャーとしてスタッフのまとめ役でもあるわけですが、アークの翻訳PMはどうですか。

みんな優秀ですね。PCスキルが高く、自立していて、プロジェクト管理が上手です。
クライアントから各翻訳PMに直接依頼が入り、即、動き始めるので、私が確認する段階ではもう納品済みだったりします。各自が自分の責任でしっかりやってくれる、信頼のおけるチームができていると思います。

ホームページ翻訳における最大のアドバンテージは、ワンストップサービスの提供

−お客様のニーズでは、最近ではどのようなご依頼が多いですか。

IT系のユーザー向けマニュアル、法規関連書類、人事用の教育資料、プレスリリース、広報・マーケティングマテリアル、ビジネス出版書の翻訳、漫画翻訳など、硬軟さまざまな翻訳を担当させていただいています。
最近ということでは、英語・中国語のホームページ翻訳をアークのWebチームと一緒にお手伝いさせていただくことが増えていますね。外国語サイトを作られる企業様、見直しをされる企業様が増えていると感じます。

−現行サイトの見直しをされるお客様には、どんなニーズがあるのですか。

「日本語ホームページを英語や多言語に翻訳してほしい」というご依頼をいただくことが多いです。ただ、「日本語ホームページ」をそのまま翻訳すると、色々な落とし穴があるのです。

ホームページには、見えないところに重要な翻訳箇所があったりします。例えばTitleタグや、METAタグのKeyword、Descriptionなどがあります。これらを訳さないと、英語ページに日本語が残るだけでなく、検索エンジンからの評価が低くなったり、検索結果が思うようにいかないことがあります。
翻訳の文字数を少なく見積ってくる翻訳会社には、見えるところだけを見積もって訳してしまうことも少なくありません。アークは翻訳サービスだけではなくWeb制作も展開しているので、そういったWebの知識は当然、あります。

以上は、「訳さなくてはいけないのに、見過ごされがちなもの」でしたが、その逆もあります。「訳さなくてもいいもの」です。具体的には、キャンペーンページなど、日本独自の、期間限定のページですね。
コーポレートサイトの多言語化のケースでいうと、日本国内・北米・アジアなどで展開しているサービス内容が異なることはよくあります。また、企業やサービスの知名度も、世界というレベルではまちまちで、日本での表現をそのまま置き換えても有効でない場合は、多々あります。

私たちのホームページ翻訳では、ユーザーはどこに住むどんな人たちなのか?というターゲティングをしっかり考えて行います。おかげさまで、サイトが良くなった、というお声も頂戴しております。
今後も、Web事業・翻訳事業双方のノウハウを活かし、お客様にワンストップでサービスを提供できる当社の強み、ここをしっかりお伝えしていきたいですね。

インタビューを終えて

いついかなる場合にも、常に穏やかなマネジャーの馬場。けして怒らず、しかしあきらめず。この落ち着きと粘りはいったいどこで培われたのかと思っておりましたが、カメラ・コンピュータ・機械全般が好き、という王道理系男子ぶりを聞いて、深く納得しました。穏やかに難問をときほぐしていくその手腕は、まさに理系男子のもの!?今後は、理系トークをもっとしてみたい!と思いました。

プロフィール

馬場 浩昭(ばば・ひろあき)
ソフトウェア開発会社を経て2005年アークコミュニケーションズ入社。翻訳事業部にて翻訳プロジェクトマネジメントを担当。2010年より制作担当マネジャー。新人翻訳PMの採用・育成も担当している。趣味は写真。1児の父。

私の1本の映画

ロン・ハワード監督『アポロ13』(Apollo 13, 1995年, アメリカ)
飛行機や宇宙船など、エンジニアの好きそうなものが案の定好きです。人間ドラマも好きなのですが、それだけだと物足りないんですね。『ライトスタッフ』も『トップガン』も好きですが、メカと人間のかかわりの規模の大きさ、ドラマの深さでこれを選びました。映画に深い感動を求めるほうではないのですが、これは名作だと思います。