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対談記事
2019/07/22

3Dエクスペリエンス戦略をきっかけに、世の半歩先行くオウンドメディアを発行

  • 翻訳・通訳

3Dエクスペリエンス戦略をきっかけに、世の半歩先行くオウンドメディアを発行

世界中のメーカーが製品設計に利用する3次元(3D)CAD(Computer-Aided Design)ソフトウェア「CATIA」を開発したフランスのダッソー・システムズ。3D設計の思想をいち早く世の中に普及させ、その後も「DMU(デジタルモックアップ)」や「PLM(プロダクトライフサイクルマネジメント)」といった概念で、設計から製造の世界までメーカー向けソフトウェア技術をリードしてきました。2012年には「3DEXPERIENCEプラットフォーム」を発表し、同時にその考えを普及させるために社外報を「COMPASSマガジン」として大幅リニューアル。企業のトレンドウォッチャーやディシジョンメーカーに向けて、世の半歩先を行く情報を提供するこの媒体にアークコミュニケーションズはかかわってきました。ダッソー・システムズで翻訳・通訳と広報にかかわるそれぞれのご担当者に社外報や社内翻訳・通訳の実際についてお聞きしました。

左より 馬場、宮城、細江、大里、加上様、松田様、平田様、佐藤様

プロフィール
加上 菊 ダッソー・システムズ株式会社 通訳・翻訳サービス マネージャー
松田 実智子 ダッソー・システムズ株式会社 通訳・翻訳サービス
平田 ひとみ ダッソー・システムズ株式会社 通訳・翻訳サービス
佐藤 有喜子 ダッソー・システムズ株式会社 PR & コミュニケーション シニア・マネージャー
大里 真理子 株式会社アークコミュニケーションズ 代表取締役
馬場 浩昭 株式会社アークコミュニケーションズ 翻訳事業部 事業部長
細江 和夫 株式会社アークコミュニケーションズ 翻訳事業部 チーフプロジェクトマネージャー
宮城 任子 株式会社アークコミュニケーションズ 翻訳事業部 通訳サービス担当

「3DEXPERIENCEプラットフォーム」を標榜

大里:ダッソー・システムズといえば、国際的に実績あるソフトウェア企業として有名ですが、まずは簡単に会社のご紹介をお願いできますでしょうか。

加上様:ダッソー・システムズは、「サイエンティフィックカンパニー」――科学を基盤とする会社です。現在の従業員数は約1万7000人ですが、積極的にM&Aを展開しているので、年々この数は増加しています。拠点は全世界179カ所にあり、お客さまは25万社、ユーザー数は2500万人に達します。株式の過半数を創業家と持株会社であるグループ・ダッソーが保有しているため、安定して10年~20年先まで見据えた経営が可能です。現在は11業界を販売ターゲットとしており、進歩的なお客さまが多いのが特徴です。

大里:わたしが日本アイ・ビー・エムに新卒で入社した時に、御社の製品を取り扱っている部署に配属されました。まだ2次元(2D)が主流だったCADに3次元(3D)設計手法を取り入れた❝画期的な製品❞という印象が強くありました。

加上様:そうなんですか! ダッソー・システムズの設立は1981年で、当時から3Dを前面に押し出して製品を開発していたことは、今から考えるとすごく斬新なことだったと思います。母体は航空機を製造するダッソー・アビエーションという会社で、そのIT部門がスピンオフして作られた会社です。航空機はその外観形状が流線型をベースにしているので、2次元では表現しきれず、設計の段階から3次元で表現する必要があったために「3Dの会社」となりました。

大里:その後も次々と新しいコンセプトを取り入れ、ものづくりの考え方を革新してこられましたね。

加上様:はい。1989年には「デジタルモックアップ」を提唱し、コンピューター上での試作モデルの作成や検証を軌道に乗せました。当時、ボーイングが開発していた777型機、通称「トリプルセブン」は、現在の新しい商用航空機のほぼすべてがそうであるように、ダッソー・システムズのテクノロジーを使用して全面的に設計された最初の商用航空機でした。その次の段階では、「PLM(プロダクトライフサイクルマネジメント)」を推進しています。製品は設計だけでは作れません。わたしたちは、製造も含めてプロダクトライフサイクル全般で3Dモデルを活用できることに気づいたのです。例えば2002年には、IBMとダッソー・システムズはトヨタ自動車と、車両開発プロセス全体を支援するPLMソリューションにおける協業に合意しました。

大里:ビッグプロジェクトですね。

加上様:そして今、わたしたちが「第4世代」として標榜しているのが「3DEXPERIENCEプラットフォーム」です。作った製品を使ってどんなことができるのか、そこからお客さまはどんな体験を得られるのか、ビジネスにはますます「エクスペリエンス」の視点が重要になっています。そこでは、もはやCADだけではなく、データ管理やシミュレーション、データ分析など、非常に幅広い分野の技術が必要になってきます。

半歩先を行く経営者必読のトレンドを凝縮

馬場:御社の社外報「COMPASSマガジン」は、いつもたいへん興味深く読ませていただいています。こちらの方もぜひご紹介願います。

佐藤様:COMPASSマガジンは2012年の秋に創刊しました。そこから、ほぼ1年に2回刊行し続けています。当初は紙による雑誌でしたが、いまは英語版だけが紙媒体として残り、それ以外はすべてウェブマガジンに移行しました。現在は英語版のほか、日本語版と韓国語版、中国語版を翻訳して作っています。なぜ、こういうメディアを弊社が始めたかというと、2012年に「3DEXPERIENCEプラットフォーム」を世に出すことで、ビジネスの在り方を変えていく必要性を啓蒙しようと考えたからです。

馬場:そうですか。コンセプトを提唱していくためにメディアを改革したのですね。

佐藤様:はい、そうなんです。それまでは、CADやシミュレーションを扱うユーザーそれぞれが個別にその技術に通じていれば十分業務が回りました。しかしここに来て、クルマづくり一つ例にとっても、形状はもちろん、車体や部品の材料、車内と走行音の関係、車内の温度や湿度管理、スマートオブジェクトの動作など、複合的な組み合わせの中でユーザー体験を作る方向にものづくりが急速に変わっています。そこで、ビジネスを統括される方や、世の中のトレンドを作り出す研究者などにも、わたしたちのテクノロジーを知ってもらう必要が出てきたのです。

馬場:実際にはどのように変えていかれたのでしょうか?

佐藤様:以前は非常に専門的・技術的な論考を中心とする社外報を出していましたが、半歩くらい先を行った、これから経営者が見ていかなければいけないトレンドを凝縮した定期刊行物を作ろうと考えたのです。これが、COMPASSの始まりでした。おかげさまで、IABC(インターナショナルアソシエーションオブビジネスコミュニケーターズ)という協会の賞もいただき、新しい形のオウンドメディアとして世の中にも認めていただけました。

3Dエクスペリエンス戦略をきっかけに、世の半歩先行くオウンドメディアを発行

言語スペシャリストではなくコミュニケーターたれ

大里:加上様の部署ではそのほかどのようなお仕事をされていらっしゃるのでしょうか?

加上様:大変幅広く、社内の通訳・翻訳業務に対応しています。本社が一括して多言語に翻訳する場合は、翻訳文のレビューも担当します。これらすべての作業でアークコミュニケーションズの力をお借りしています。

大里:いつも、ありがとうございます。具体的にはどのような内容なのでしょうか?

加上様:わたしたちの部門では、マーケティングよりも営業サポートの比率が大きく、そうした点で、普段から非常に緊張感の高い翻訳・通訳業務に追われています。例えば、お客さまに対する製品資料の翻訳や、営業プレゼンの通訳など、売上に直結する業務です。時間のない中で、ただ単に言葉を訳すだけではなく、会社にとって一番大事なことを伝えるため、その場で判断する能力が必要とされます。まさに臨機応変、適材適所な対応が求められる仕事なんです。

大里:加上さんご自身は製品やビジネスの知識を持ちながら、語学もフランス語と英語にご堪能。どのようにしてそんなスキルを身につけたのか以前から聞いてみたいと思っていました。

加上様:もともと言語に興味があり、大学は仏文科を卒業しました。ただ、ビジネスには英語も必須なので、フランス語のあとに英語を勉強したという珍しいケースです(笑)。最初にいただいたお仕事が自動車のシステム関係で、そこで自動車とITに関わったことで、それからずっとテクノロジー関係の仕事に関わってきました。

大里:そうなんですね。それが今のお仕事に通じていると。

加上様:はい。きれいごとに聞こえてしまうかもしれませんが、わたしは人を助けることが好きなんです。伝えたい人が他の人に物事を伝える際の架け橋になることが一番嬉しいのです。弊社で言えば、ものづくりに従事されているお客さまと、ソフトウェアベンダーとして最適なサポートを提供したいわたしたちそれぞれの想いを伝える架け橋になりたいというのが、いまのわたしのモチベーションです。

大里:まさにコミュニケーションのお仕事ですね。

加上様:おっしゃる通りです。わたしが大変尊敬する通訳者の方が、常に「コミュニケーターたれ」と言っていました。要するに、言語のスペシャリストになるのではなく、コミュニケーション――想いを伝えること――が言語の基本的な存在意義なので、そうした道具を使って想いを持った人同士をどうつなげるのか考えようということなんです。

翻訳者は高度な内容の翻訳ほど喜ぶ

馬場:アークコミュニケーションズの翻訳や通訳はいかがでしたでしょうか?

加上様:御社の強みの一つと思っていますが、翻訳トピックに合わせて良い翻訳者の方を選んでいただけるので、技術的な内容にもご対応いただけるのは、大変助かっています。

馬場:そうしたアレンジはプロジェクトマネージャーの細江が担当しています。

細江:原稿をお預かりした時に、適切な翻訳者を選定するためにまず読ませていただきますが、技術的に高度な内容が多いので意外と大変な作業になっています。

加上様:そうしたご苦労の甲斐があって、素晴らしい翻訳文に仕上げていただいているんですね。弊社でその翻訳のコーディネートをやらせていただいているのが松田です。

松田様:アークコミュニケーションズに「いつごろに原稿をお渡しします」とご連絡するのですが、たまになかなか本社から原稿が届かない時があります。そんな時、遅れてやってきた原稿をいきなり細江さんにお渡ししても、しっかりとさばいていただけるのは、「さすが」といつも思っています。

細江:実は翻訳者は、そのような高度な内容の原稿を喜んで翻訳してくれているんです。知的好奇心がそそられるからでしょうね。それぞれの分野すべてに必ずしも専門家がいるわけではなく、優秀な翻訳者は自分で調べて理解するんです。そのために少し長めの時間をとらなければいけないのですが、その分、専門分野外でも見事に読み解いてきます。

加上様:いま、機械翻訳の技術が大幅に進歩していて、翻訳者が誰でも、良い翻訳ができるのではないかと思っている人もいますが、わたし自身は、それは絶対に違うと思っています。なぜなら、翻訳者が変わると翻訳の質が大きく変わるから。そういった点で、常に❝人ありき❞で翻訳してくださるアークコミュニケーションズのスタンスには大変感謝しています。
一方、通訳に関しては平田がこのたび担当することになりました。

平田様:まだ、1件くらいしか担当していないのですが、アークコミュニケーションズの通訳者は、資料の予習をしっかりされていて、用語の把握もできており、弊社の製品についてもちゃんと調べていただいているので、担当が高く評価しています。全体的に通訳者のクオリティが高いと感じています。

宮城:ありがとうございます。ダッソー・システムズでご依頼くださる方たちも、通訳や翻訳についてよくわかっていらっしゃるので、それはすごく安心材料になっています。事前にいただく資料が大切という基本をご理解いただいているので、こちらから資料のご提出について無理なお願いをしても、なんとか対応してくださいますし、もし仮にできない場合でもそれを伝えてくださるので、すごく助かっています。

お客さまの見えてないものを見せる

大里:今後に向けて、何か新しい試みなど始めていらっしゃるのでしょうか?

佐藤様:デンマークのシューズメーカーであるECCOの研究チームと弊社のファッション系テクノロジー部門がコラボレーションして、「QUANT-U」というプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトは、店頭でお客さまの足を立体的に計測し、さらにトレッドミルで歩き方まで測定して、店頭の3Dプリンターでお客さまだけのミッドソールを出力し提供するものです。膨大な計測データを基にソールの立体形状を瞬時に作りだすところに、わたしたちのテクノロジーが使われています。

大里:なにか新しいビジネスモデルが生まれる予感がしますね。

佐藤様:はい。こうした方法論を突き進めていくと、例えば将来は、靴や服、家具などを店頭でカスタムメイドして提供するといった業態も不可能ではありません。そのような未来には、サイズ違い・色違いの在庫を置いておく倉庫が不要になりますし、カタログも作らないでよくなるかもしれません。新しい方法論の台頭は、お客さまの購買体験を大きく変え得るのと同時に、業界の中で必要なテクノロジーやインサイトをもすべて変えてしまう可能性をはらんでいます。

加上様:お客さまの望んでいることだけを実現するのがわたしたちのミッションではなく、お客さまがいま見えてないものを見せるのもわたしたちの役割だと考えています。「未来にはきっとこういう技術が出てくるので、こういうやり方もありますよね」という提案をできるのがダッソー・システムズなんです。

時代のトレンドをともにキャッチして前に進む

大里:アークコミュニケーションズに対して、何かご要望などはありますでしょうか?

加上様:一般的に翻訳・通訳会社の方からは「製品を理解した上で翻訳・通訳します」とおっしゃっていただけるのですが、本当に実行するとなると、これはなかなか大変なことだと思うんです。ところが、御社プロジェクトマネージャーの細江さんは、毎年弊社のフォーラムをご自身で登録されて聞きに来てくださいます。弊社の動きをご自分でキャッチしてくださるというのは、すごいことだなといつも感心しています。これからもぜひ、そうしたスタンスでお付き合いをお願いしたいと思っています。

大里:わたしたちもミッションの中で、お客さまの「想い」と「本質」の両方を伝えることにこだわっています。

加上様:日々の業務に追われていると、どうしてもそこがなおざりになってしまい、結局、翻訳の品質も悪くなってしまいます。そうした部分には十分時間をかけて注意していかなければなりません。また、弊社の事業の進展は本当に速く、M&Aも活発ですし、時代の最先端にある製品を扱っているので、時代のトレンドをわたしたちと一緒にキャッチしていただき、どんなトピックが来てもドンと構えていてくださると大変助かります。今後とも、お付き合いのほどをよろしくお願いします。

大里:今日は本当にありがとうございました。

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