Column

2018年1月

英語の豆知識 第七回: アメリカ建国当時のアメリカ英語

今回は、アメリカ建国当時のアメリカ英語に焦点を当てたいと思います。

ところで、方言の違いはどこの国の言葉にもありますね。日本でも、関西の人は「自分たちの話し方は人情深く東京では気取った話し方しかしない」、一方、東京の人は「関西に行くと町中でお笑いをやっているようだ」といった具合に、冗談として語ったり、議論がヒートアップしたりすることがあります。似たようなことはどこの国でもやっているようです。

英語のように一つの言語が複数の国で使われる場合も同じで、それぞれ「自分の方が良い」「向こうの言い方は変だ」という議論が白熱するそうです。アメリカとイギリスも例外ではありません。おそらくカナダやアイルランド、オーストラリア、ニュージーランド、ひいてはシンガポール、フィリピン、インド、ジャマイカ、南アフリカなどの英語圏でもそうでしょう。

言語は、それを使う人々の文化や生活環境によって、必要となる語彙や表現法を数多く生み出します。

イギリスという気候が良くて緑や自然に恵まれた一つの島国に英語が収まっていた時は、そこでの生活に最適化された言語でした。その後、世界の植民地へと広がり、そこからさまざまな要素を吸収し、他言語と比べて比類ない発展を遂げてきたのは、これまでのコラムでもご紹介したとおりです。

ところが、英語がそれまでの植民地とは異なるアメリカという新天地に「移民」というかたちで進出すると、そこからまた新たな進化が始まりました。語彙や表現法だけでなく、発音も少しずつ変わってきます。それが蓄積されて、イギリス英語とアメリカ英語という分岐が際立つようになりました。

アメリカがイギリスから独立したのは18世紀。実際に独立を果たすまでの長い間、主にイギリスからの移民で人口が増え、新たな土地の環境に最適化すべく新語造語が多く誕生しました。

そんなアメリカ生まれの言葉は、イギリス本国では「野蛮な英語(barbarous English)」と揶揄されることもあったそうです。

例:
- colonize (入植する、植民地にする)
- unshakable (揺るぎのない)
- bluff (断崖、絶壁)
- antagonize (反感を買う、敵に回す)
- placate (なだめる、慰める)

しかしアメリカ生まれでも、今ではイギリスを含めて完全に定着した言葉も数知れません。

例:
- lengthy (長々しい)
- calculate (計算する)
- seaboard (海岸地帯、海岸線)
- bookstore (書店)
- presidential (大統領の、総裁の)

旧大陸のイギリス植民地と同様に、ここでも他の言語からの流入は例外なく起こっています(新大陸原住民の言語から入ったもの、アメリカに移民した非英語ネイティブの言語から入ったものなど)。

例:
- wigwam (北米インディアンの小屋)(インディアンの言語から)
- pretzel (プレッツェル)(ドイツ語から)
- spook (幽霊、諜報員) (オランダ語から)
- depot (停車場) (フランス語から)
- canyon (峡谷)(スペイン語から)