お問い合わせ

Close

お問い合わせ
お問い合わせ

アークコミュニケーションズスキーチームとは

はじめに

彗星のように現れ、大学4年生でインカレを制しただけではなく、全日本オリエンテーリング選手権大会をも制した小牧選手。周囲の期待は高まります。一方、愛されキャラでもあり、小牧選手の周りにはいつも笑いがあります。この4月からはアークコミュニケーションズでWebディレクターとして正社員で働き始めました。
世界選手権大会での日本人最高順位を更新すべく、これから道なき道を駆け上がる小牧選手。世界選手権大会を前に、トップオリエンティアとしての矜持、そして新卒1年目の社会人としての素顔を探るべく、インタビューを行いました。

(取材日:2023年6月)

目次

"ビッグ・サプライズ"と言わしめた世界学生選手権大会

大里:2022年8月に、アークコミュニケーションズ(以下、アーク)が小牧さんをサポートすると決めてから、初めて世界学生オリエンテーリング選手権をYouTubeで見ました。男子のリレー第一走者で6位という上位で戻って来て大興奮だったのですが、本人としての手応えはどうでしたか。

小牧:私としてもイメージ通りで、今までの大会の中で一番手応えがあって、ほぼ100点の走りができたと思っています。

大里:周囲の評価はどうでしたか。

小牧:日本の選手がトップ集団から2分以内の6位というのは、かなりインパクトがあったようで、現地の実況も"ビッグ・サプライズ"と言ってくれていました。また特に印象に残ったのは、一緒に走った、1カ月前に世界選手権で銀メダルに輝いたスウェーデンのトップ選手が、わざわざ日本チームまで来て、「君は集団についていくだけでなく、自ら引っ張っていた、それが印象的だった」と言ってくれたことです。すごく嬉しかったですし、世界で頑張れば、この人みたいにもっと速くなれるのではないか、そんな手応えも感じられた大会でした。

大里:それは素晴らしいですね。ここで改めてオリエンテーリングを知らない人に少し競技について説明してくれますか。

小牧:オリエンテーリングは地図に示されたポイントを順番に回って、一番速い人が勝つというスポーツです。日本では前々回の東京オリンピックを機に高まった全国的な体力つくり運動の一環として導入されたスポーツで、黎明期においては世界選手権で26位を取ったこともあるものの、その後は苦戦が続き、残念ながら北欧などの強豪国からはかなり遅れをとってしまっているのが現状です。

大里:そんな状況だっただけに、第一走者の小牧さんが上位で戻ってきて、しかも世界王者のスウェーデンの記録40分に2分と離されなかったというのは、応援する私たちにしても大きな衝撃でした。やっと世界に伍する選手が出てきたと私も胸が熱くなりました。

「山を本能のままに走る」これぞオリエンテーリングの醍醐味!

森でのレース風景

大里:この素晴らしい成果にたどり着くまでには、どんな道のりがあったのですか。

小牧:強みをひたすら磨くということに尽きます。私の強みは2つあると思っていて、その1つが「森の中を走る力」です。森の中という自然がフィールドですから、倒木や下草、湿地、岩など、いろいろな障害物があり、もちろん上り下りもあります。海外選手に負けないよう、フィジカルトレーニングを重ねることで、トップスピードをより速く、かつ継続できるよう、スタミナ面の強化に取り組んできました。
もう1つが「セルフコントロールする力」です。「今、自分がどこにいるのか」「このルートでいいのか」など、選手は常に不安と隣り合わせにいます。そうした状況でしっかりと自分で自分をナビゲーションしきることが、順位を上げる上では欠かせないものになります。トップスピードを上げられたのも、うまく体力を配分して持久力を上げられるようになったのも、このセルフコントロール力が大きく影響していると思っています。

大里:よくオリエンテーリングは、「走力と知力のスポーツ」と言われますよね。

小牧:はい。知力というのは、地図を読む力、つまり地形を捉えて、最適なルートを選択する「頭の良さ」ということを指しているのだと思うのですが、実はレース中に「考える」ということはあまりありません。山を本能のように走る、だからこそ楽しいんです。もちろん練習の段階では、いろいろと考えたり、試してみたりしているのですが、本番は身体に染み付いたものが出てくる感じで、考えながら走るということはないですね。

「こんなに美しい世界があるのか」と衝撃を受け、選手活動を本格化

オリエンテーリングを語る小牧選手

大里:小牧さんは大学1年生からオリエンテーリングを始めて、まさに彗星のごとく現れたという印象なのですが、どのような幼少期、少年期を過ごしたのですか。

小牧:長野県出身で、自然の中で遊ぶのが大好きな子どもでした。小学6年生の頃、トレッキングに行った時のこと、リーダーの大人から地図とコンパスを渡された途端にダッシュで走って姿が見えなくなって、心配して探したら、正しい場所にいたそうです。私自身はその時のことをあまり覚えていないのですが、根本のところは昔から変わっていないのかなと(笑)。
中学・高校生の頃は、バレーボールをしていたのですが、"スポ根"みたいな雰囲気になじめなくて...。大学に入学した頃には、スポーツはもういいかなという気になっていました。

大里:それが、なぜオリエンテーリングを始めることになったのですか。

小牧:ありがちなのですが、筑波大学の新入生勧誘で「地図」「森」「走る」という刺激的なキーワードを聞いて、たまらずオリエンテーリング部に入部しました。やってみたら、とにかく楽しかったんです。もちろん最初は、自分がどこにいるのかわからなくなってウロウロしたり、地図の範囲外にまで行ってしまったり...。もう最悪でした。それだけに、自分がいる場所が全部わかってゴールできた時は最高なんですけど。

大里:オリエンテーリングを楽しむというところから、一段上がってトップアスリートを目指すようになったきっかけは何だったのですか。

小牧:当時の筑波大学は強豪校というわけでもなく、最初のうちは大会にもそこまで参加しないで、ただ「もっと速く走りたい」の一心で、いろいろとプロセスを考えながら試行錯誤していました。転機になったのは、大学3年生の時。世界オリエンテーリング選手権の日本代表選手が怪我で欠場することになり、急遽、代わりに出場することになったんです。初めての世界選手権は「本当にこんな美しい世界があるのか」と、もう衝撃でした。森の美しさはもちろん、とんでもない速さ、研ぎ澄まされた人たちだけが集まる空間の美しさ...。自分もこの世界でチャレンジしていきたいと思いました。

「自分ができること」からコツコツ、先は長いけれども着実に差は縮まっている

大里:はた目には、インカレも日本選手権も制して、大きな苦労もなくスイスイとたどり着いたように見えるのですが、実際、本人としては壁と感じるようなことはあったのですか。

小牧:ものすごく大きな壁というのはなかったですね。小さな壁を一つひとつ越えていった感じです。実は私はリアリストで、「自分ができることしかやりたくない」というタイプなんです。「これくらいなら頑張ればクリアできるはず」という現実的な目標を立て、それを達成したら、また次の目標を立ててという繰り返しです。

大里:前回の国際大会は大成功だったと思うのですが、新たな課題も見つかったのでしょうか。

小牧:トップの集団に2分と遅れずについていくことができ、太刀打ちできたという意味では大成功だったと思います。ただ、大会後に行われたスイス選手権では、私が出場したコースより長いのに、トップ選手は私より5分も短いタイムでゴールしていて、とてつもなく高い壁を感じています。私の必死のパフォーマンスをはるかに超えてきていて、どうすればその高みにいけるのか、まだ足がかりすら見つけられていない状態です。一足飛びに超えることは無理なので、まずは地道に小さな目標を立てて、達成して、また次の目標に挑んで...というのを続けていくしかないのですが、先は長いと思うと嬉しくなる気持ちもあります。

自然も自分もコントロールできた時の"全能感"がたまらない

小牧選手の優勝後インタビュー

大里:小牧選手が間近に見たトップ選手のカッコよさ、魅力というのはどういうところですか。

小牧:私は「原付バイクみたいだ」という誉め言葉をもらうことがあるのですが、私が原付なら、トップ選手は四輪バギーか、もしくは野生のシカみたいな感じなんですよね。藪の中、岩も倒木もあるところを、体制を崩しながらも、ものすごいスピードで駆け抜けていく。この前の大会でも、下り道の後ろで音がするなと思って振り向いたら、ぶわっと人が降ってきました。ちなみにその時、降ってきたのは昨年の世界チャンピオンだったのですが、もう本当にすごい迫力ですよ!
プレイヤーにとっての魅力は、やはり山というフィールドを自由自在に駆け抜ける、どんな場所でも地図1枚でいけるという気持ちよさですね。自分の思い通りにルート取りができ、ゴールできた時は、自然も自分もコントロールできたという"全能感"を味わうことができます。

大里:山の中、森の中での競技ということで、間近に大迫力シーンを見られないのは残念です。

小牧:最近ではGPSでのマッピングだけでなく、追走カメラやドローンの中継映像もあって、見る人にとってもより楽しめるものになっていますよ。現地会場に来ると、会場をゴールやコース中に取り入れていることも多いので、臨場感も増します。最初に「自分だったらどのルートを選択するか」と考えてから見るのもいいですし、あと迷っている選手を見ているのも楽しかったりします。「自分が迷っていたら、見られているのかな」と思うと、ぞくっとしますけど(笑)。

大会運営やコーチングなど、オリエンテーリングの楽しさを広げる活動にも注力

大里:オリエンテーリングのコミュニティは、選手や愛好者自身が大会や練習会を開き合うという、独特のカルチャーがあるのが面白いところですよね。「真にオリエンテーリングを理解するには大会運営に参加することである」という格言もあると聞いています。

小牧:私も2022年学生選手権のロングのコースプランナーとして、フィールド選びからコース設定、当日の運営まで、一通り経験しました。フィールドやコースには世界的な流行が実はあるんですよね。私自身が世界で体感してきた最先端のものを日本にいながらにして体験してもらえるようにと思い、いろいろな試みにもチャレンジすることができました。

大里:世界最高峰のトレンドを体験できる大会になったわけですね。

小牧:日本ではオリエンテーリングはレクリエーションとして楽しむ人が多い一方で、競技としてはカレッジスポーツとしては盛り上がりを見せつつあるものの、なかなかその先につながってきていません。しかも、今般のコロナ禍で活動停止に追い込まれたところもあり、"儚さ"を感じているところです。次の選手たちへの支援として、運営を通じてノウハウを提供したり、直接的なコーチングをしたり、普及にも力を入れています。

大里:やはり、世界で通用する選手が出てくると、多くの人がその競技に興味を持つようになり、普及にもつながります。そういう意味でも、小牧さんにはトップを目指してぜひ頑張ってほしい。40歳で優勝する人もいるなど、息の長いスポーツで、小牧選手は24歳とまだまだ若いのですから。

小牧:それは自分でも考えています。選手として結果を残すことが、オリエンテーリング普及の貢献にもなる。また自分を受け入れてくれたアークへの恩返しにもなると思っています。

日本人最高位を目標に、まずは世界のベスト40入りを目指す

インタビューに答える小牧選手

大里:今年からアークの社員になったわけですが、入社の決め手は何だったのですか?

小牧:大学院2年生になり進路を考えた時に、競技を続けたいと思ったんですよね。自分はオリエンテーリング選手としてもっと速くなれる、もっと上の結果が残せる、そういう確信があったんです。世界でのプレゼンスを上げるためには国際大会に安定して出場することが必須で、それには社内の理解が絶対的に必要です。アークにはスポーツチームがあり、選手の活動をサポートもしています。それが1つの大きな理由です。
加えて、Webディレクターという仕事に興味がありました。アークのミッションは「お客様の思いや本質をわかりやすく世界に伝える」。分析やプレゼンテーションは、自分の得意とすることでもあって、これまでのスキルや経験は、仕事にも活かせるのではないかと思ったのです。

大里:当社にはスポーツ枠があるわけではないので、小牧さんは実力で選考を突破したんです。選考過程で既存Webサイトの短所・長所を分析するワークショップを行っているのですが、小牧さんはそこでも群を抜いて光る存在でした。選手として応援したいという気持ちに加え、Webディレクターとしての成長にも大きな可能性を感じて、採用に至りました。今はどんな仕事をしているのですか。

小牧:先輩ディレクターが担当するプロジェクトでアシスタントを務めています。入社して感じたのは、分析や企画、デザイン、コーディングなど、仕事の範囲が広いということ。いろいろな仕事にチャレンジして、Webディレクターとして自分の案件を持ちたいですね。

大里:最後に、オリエンテーリング選手としての目標を改めてお願いします。

小牧:世界選手権での日本人選手の最高位は1976年の26位。それを超えるのが目標です。今までの選手の中で一番になりたいですね。
ただ、いきなりそこを目指すのは難しいので、2023年7月のスイスで行われる世界選手権では、ベスト40に入ることを目標に掲げています。昨年、今年と現地での練習を重ね、フィジカルトレーニングの強度も増すなど、ベストなレースができるよう、しっかり準備してきました。皆さんの応援も力に今大会での40位内、そしてその先に見える日本人最高位をしっかり視野に入れ、これからも頑張っていきたいと思います。

インタビューを終えて

小牧弘季選手と大里

他の新卒の学生と同じように採用面接やプレゼンテーション披露という選考を経て、入社した小牧さん。彼の突き抜けた論理的思考とそのスピードはとても素晴らしかったです。まだ入社して間もないので、どこに彼のビジネスパーソンとしての強みが潜んでいるのか探っている最中ですが、オリエンテーリング同様、オールラウンダーで活躍してほしいと思っています。

仕事で学んだことを競技に活かす、競技で学んだことを仕事に活かす、この正の循環を回し、世界選手権大会での日本人最高順位更新はもちろんのこと、さらなる高みに達してほしいと願っています。

2023年6月
アークコミュニケーションズ 代表取締役 大里 真理子

最後に

アークコミュニケーションズの『小牧弘季選手応援サポーターシステム』をとおして、小牧選手を応援してみませんか?

今後、シーズン活動報告会をはじめとしたファンイベントなど、小牧選手と直接話せる企画などを計画しています。小牧選手と一緒に、夢を追いかけましょう!

本サイト(www.arc-c.jp)は、快適にご利用いただくためにクッキー(Cookie)を使用しております。
Cookieの使用に同意いただける場合は「同意する」ボタンを押してください。
なお本サイトのCookie使用については、「プライバシーポリシー」をご覧ください。