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恩田祐一インタビュー:明日にかけるスプリンター

はじめに

クロスカントリースキーは、本場ヨーロッパでは、冬ともなるとワールドカップの全試合がテレビ中継される、日本でいうところの駅伝やマラソンに匹敵する超人気コンテンツです。ヨーロッパの人々はクロスカントリースキーの短距離から、中距離、長距離、リレー種目など、全ての種目に熱狂します。

特に北欧ノルウェーの首都オスロ市にあるホルメンコーレンでは、コースサイドの林間になんと10万人以上もの観客が押し寄せて、選手に大声援をおくります。そんな本場でのレースに果敢に挑戦しているのが、アークコミュニケーションズスキーチーム所属の、クロスカントリースキーの恩田祐一選手です。

彼は、短距離を得意とするスプリンターとして活躍しており、2014年のソチオリンピックでもメダルを期待される選手の一人です。現在はオリンピックのメダル獲得へ向けて、競技スキー生活にすべてをかけています。

今回は、恩田祐一選手の競技にかける想いや、シーズンオフの過ごし方など、アークコミュニケーションズ代表取締役 大里真理子がインタビューを行いました。アスリートの生の声をぜひお聞きください。

(取材日:2012年5月)

目次

クロスカントリースキーのレースの内側

恩田祐一

大里:恩田さんが得意とするのはクロスカントリースキーの中でもスプリント競技ですが、実は瞬発力とともにスタミナを要求されるタフな競技だと聞いています。クロカンのスプリントレースってどんな状況の中で戦っているんですか。

恩田:スプリントの場合、距離は1500mくらい、予選は全選手によるタイムレースで、そこで上位30人までに絞られます。30位までに入ると決勝トーナメントに進出できます。決勝トーナメントは6人1組で争い、各組の上位2位までと、3位以下でタイムの速かった2人が次のステージに進出していきます。この時、レースとレースの間隔があまりないので、ゴールしたら、すぐに次のスタート地点にもどらないといけないんですが、会場によっては、ゴールからスタート地点にもどるまで5分ぐらいかかるところもあります。

大里:スプリントって1回3分から4分ですよね。3分全速力で滑って、5分で戻って。大変ですね。

恩田:いや、さすがに戻ってすぐに次のスタートというわけではないので(笑)。でも、上位に行けばいくほど、レースの間隔が短くなっていくので、きっついですよね。

大里:しかも、水泳や、陸上の短距離と違って、一日で予選から決勝まで行われるんですよね。

恩田:そう。3時間から4時間ぐらいで、予選から決勝までの3、4試合が全部終わっちゃいます。レースの間にいかに回復するか、決勝レースの最後にいかに体力を残しておくか、というのが、実は大きなポイントなんです。

大里:本当にスタミナが要求される競技なんですね。しかも、格闘技的な要素もあるとか。

恩田:そうですね。レース中、選手同士ぶつかりあうことも多いので、体をはる格闘技的な部分もあって、相手との駆け引きも重要なファクターになってきます。それから、チーム戦でもあります。ノルウェーやスウェーデンの身体が大きい選手たちが、チームメイトを勝たせようとして他国のライバル選手の前にたちはだかるとか、プレッシャーをかける役目の選手もいたりします。

大里:恩田さんは、決勝日本人ひとり、というケースが多いですよね。チームで戦ってくるところには、不利じゃないですか?

恩田:それを言っても仕方ないんで。そこで勝つ、というのがまた醍醐味ですね。

大里:2011年のアジア冬季競技大会のカザフスタンで、スタジアムのゴール前での恩田さんの滑っている姿はみせてもらったんですが、スタジアムに戻ってくる前の、体をはって戦っているところも生で見たかったですね(笑)。

実はチームプレーでもあるクロカン

大里:クロカンって、普通の競技にくらべると道具に左右されることがすごく大きいですよね。個人競技なのにF1みたいにメカニックもついていて。そういう意味でも、チームプレーですよね。

恩田:そうなんです。雪質や天候は毎日変わるので、その日の天候や雪質にあった、いわゆる「当たりのワックスをさがす」というのが、メカニックの仕事です。何千何百種類の中からメカニックが選んでくれるんですが、僕たち選手には全くわからないですね。

大里:「当たりのワックスをさがす」って、どういうことなんでしょう。

恩田:クロスカントリーは、アルペンと違って、上りと下りがありますよね。上りのときにバックしないように止めるワックスを真ん中に塗るんです。これが雪質にあわないと、上る時に滑っちゃうんですよね。それから下り用に、真ん中以外に滑る用のワックスを塗るんですが、これもあわないと、スピードがでない。

大里:素人でもレースを見ていると、下りで、あの選手の板は滑ってる、あの選手は滑ってないってわかるときが、確かにあります。ワックスが、その時の天候と雪の状態にあっているか、というのは各国の対決でもあるんですね。

恩田:そうですね。国単位で、この国滑ってる、滑ってない、という状態になることもよくあります。

大里:ワックスがだめだと勝負にならない?

恩田:実際には20台ぐらいの板にワックスを塗って用意をしておいてもらうんです。でも、その中から選ぶのは自分です。板も堅さに違いがあって、やわらかい雪にやわらかい板をはいてしまうと、雪にささってブレーキになってしまう。ワックスは国単位のところもありますが、板を選ぶのは自分なので、やっぱり自分の勝負ですね。

大里:一人で10台以上の板を持っているとなると、チーム全体でものすごい数の板を用意するんですね。

恩田:多い選手だと一人で板20台とか用意してもらいますね。実際に使うのは1台なんですけど。日本チームはメカニックだけでは足りないので、コーチなど選手以外総出で、ワックスの準備をしてくれています。

大里:クロカンが盛んで予算もメカニックなどのスタッフも豊富な国というのは、有利ですね。

恩田:日本のクロスカントリースキーには6人の選手にワックス3人ですが、強い国だとメカニックが30人以上いたりとかはしますね。

大里:日本人選手はそれだけ不利な中で戦っているんですね。

恩田祐一

恩田:いや、不利だとは、思ってないです。それにスタートラインに立ったら、もう順位しか見えてないです。

大里:恩田選手は試合前のオーラがすごいと聞いています。集中力を高めるために音楽をきくとか、色々試されている選手の話も聞きますが、恩田流の集中方法とかはあるんですか?

恩田:特にないです。適度に体を動かしてるぐらい。ただ、自分にプレッシャーを常にかけてます。スタート台に立ってふっきれるしかない。ただ試合前は、人がみえてないですね。止まると寒くて体を冷やしてしまうのと、忙しいこともあってあまり話さなくなるらしく、周りの人から恐い、とか近寄りがたい、とか言われることはありますね(笑)。

大里:それだけ自然に高い集中を持てる、というのが恩田さんの強さなんでしょうか。アークにいるときの恩田さんは恐くないですよ(笑)。

夏冬それぞれのトレーニング

大里:オフシーズンのトレーニングはどのようにしていますか。

恩田:春から夏にかけてのオフシーズンは、地元の新潟県妙高でトレーニングに取り組んでいます。今は好きなだけ練習をさせてもらえる環境に感謝してます。とにかく練習を積まないと勝てない競技なんで。東京に来た時には、アークに顔を出して、社員の皆さんと近況を話しながら昼食をとったりするのは、楽しいひとときです。練習で、なかなか来れないんですけど。

大里:はい。練習をストイックにしてるってことは、信頼してまかせてます(笑)。それだけに、いつも懸命に練習している恩田さんが、東京に来て、アークに寄ってくださるときは、私も社員も楽しみにしています。

恩田:アークに来るときは、いや、あの、けっこう緊張しているんですよ。社員の方々が仕事の手を休めてまでして私の話を聞いてくれて。もう、ほんとに申し訳なくて。ランチを一緒にさせてもらったり、冬に妙高まで来てもらって、社員の方達と話せたのは、楽しかったです。社員の人たちに心から応援してもらえていると思えて、うれしさを感じています。

大里:クロスカントリースキーは陸上競技のマラソンや駅伝のレースと同様に、ひとりで走るという、ある意味、孤独との闘いですものね。夏場の練習も基本一人なんですか?

恩田:そうですね。地元の妙高にいるときも、春から夏、秋にかけてはローラースキーで、山に近いアスファルトの農道なんかを走ってます。もちろんマシンを使ったトレーニングなどもしつつ、ランニングを含め、走行距離を稼ぎます。

大里:意外に地元で練習できる選手って少ないんですよね。恩田さんが妙高で練習できるのは、ラッキーなんだと思いますが、やっぱり地元で練習できる良さってありますか?

恩田:それはそうですね。妙高で練習してると、応援してくれる人も多いんです。知らない人が車の中から「がんばってね」とか、みんなが応援してくれる雰囲気があるんで、それはやっぱりうれしいです。練習中に「これ採れたから、もってけや!」って、採れたてのたけのこをくれたりするんです。

大里:えっ、練習中にたけのこをどうするんですか。

恩田:持ちながら走ります(笑)。でもうれしいんです。暖かく見守ってくれ、応援してくれるのは本当に有難いです。その気持ちに精一杯応えていきたいです。

大里:ブログを拝見していると、マウンテンバイクのレースにもずいぶん出てますけど、マウンテンバイクは恩田さんにとってどんなスポーツなんですか?

恩田:マウンテンバイクは、クロカンのトレーニングにもってこいのスポーツだと思ってます。コースもアップダウンの繰り返しで、スキーのコースに似ていますし、自転車をコントロールしなければいけないから、体幹の強さが必要だし、ボディーバランス感覚も養えます。それにレースに出た時には自分が挑戦者側にいられるので、すごく楽しいですね。トレーニングでは走りますけど、マラソンとか走るのは実はあんまり好きじゃないんですよ。ずっと走ってないといけないんで。自転車はスキーと一緒で、こがなくていい時間がありますからね(笑)。

大里:ヨーロッパ遠征で、冬はほとんど日本にいませんが、いつも欧州のどのあたりで合宿することが多いですか。

恩田:北欧フィンランドの中央部にあるスポーツトレーニングセンターが有名なブオカッティを中心に合宿練習の日々を送っています。それでも国ではノルウェーが好きですね。あそこの人たちは、どの国の選手に対してもわけへだてなく応援してくれるんです。それがいいんですよ。

大里:私もフィンランドにスキーオリエンテーリングの国際大会で行ったことがあります。趣味でやるのと大会で競技するのは、明らかに違うなと思いましたよ。確かに自分を追い込む気持ちになりますね。

恩田:そうです、私の場合はレースではそういう極限の状況に、あえて自分を持っていっているわけです。競技シーズンが終わると、楽しく野山にスキーに出かけたり子供たちにスキーレッスンしたりしていますよ。いつも気持ちを試合モードのままで、オンに入れっぱなしでは大変ですから。だってクロスカントリースキーは楽しいんですよ。空気はいいし、きれいな雪で、健康的です。楽しく滑るぶんには、ほんと、身体に最高なんです。

応援サポーターのみなさんへ

大里:カザフスタンで行われた2011年のアジア冬季競技大会には私も行っていたので、目の前で恩田さんのスプリントの試合を見ました。あのときは銅メダルを獲得したんですが、金メダルをとってほしかった!と悔しかったんです。でも恩田さんがものすごく健闘していて、その頑張りが伝わってきて、とても感動しました。そうなると、ますますソチオリンピックが楽しみになってきますね。

恩田:はい、そのためのハードな練習なんです。それと大里さんも一緒にソチオリンピックへ行きましょう。そこで私の活躍を存分に見ていてください。必ず素晴らしい成績を出してみせますから。

インタビューを終えて

恩田祐一

欧州強豪選手に負けずとも劣らずの大型選手。その豪快無比な印象ながら、繊細さと優しさも持ち合わせる恩田祐一選手。彼は日本が誇るクロスカントリースキーの第一人者といっていいでしょう。目指すは2013ヴァル・ディ・フィエンメ世界選手権スプリント種目での表彰台と、2014ソチ五輪のメダル獲得です。 世界のトップアスリートとして魅力あふれる恩田祐一選手に、これからも熱い声援をお願いします。

2012年5月17日
アークコミュニケーションズ 代表取締役 大里 真理子

最後に

アークコミュニケーションズの『恩田祐一選手応援サポーターシステム・ファンクラブ』をとおして、恩田祐一選手を応援してみませんか?

今後、壮行会などのファンイベントや、シーズンオフには恩田選手と直接話せる企画などを計画しています。恩田祐一選手と一緒に、オリンピックの夢を追いかけましょう!

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