『アナと雪の女王』に見る、字幕・吹き替え翻訳のこだわりと難しさ│翻訳会社ブログ

『アナ雪』の字幕翻訳と吹き替え翻訳の違いとポイント

『アナと雪の女王』に見る、字幕・吹き替え翻訳のこだわりと難しさ

字幕と吹き替えとアナと雪の女王

ディズニーの映画『アナと雪の女王』(以下『アナ雪』)は、世界各国でローカライズされ、日本でも多くの人が劇場に足を運んでいます。特に、主題歌の『Let it go』は原曲だけでなく、日本語版も大変な人気で、映画を観ていない人でも歌だけは知っているのではないでしょうか。映画も、字幕と吹き替えの両方を観たという人が多く、作品の完成度の高さを物語っています。

今回は、その人気を影で支えている映像翻訳の現場の努力、そしてそのこだわりについてご紹介します。

『アナ雪』の字幕・吹き替えと通常翻訳との違い

『アナ雪』にも他の映画と同様、英語の台本があります。それを翻訳すれば字幕や吹き替え版の台本になりそうですが、実は、単純に翻訳しただけでは使えません。通常の翻訳と、字幕や吹き替えなどの映像翻訳では、翻訳する際のポイントが違うのです。

『アナ雪』のセリフは字幕、吹き替えとも、とてもシンプルでわかりやすいものになっています。幅広い年代の人が楽しめるように、原作でも容易に理解できる英語が使用されている上で、さらに日本語の字幕や吹き替えの翻訳でも工夫が凝らされているためです。通常の翻訳表現に比べて、観たり聴いたりしたときにすぐに理解できることが重視されています。

また、字幕と吹き替えでは、最終的なアウトプットに"文字"と"音声"という違いがあるため、翻訳するときに意識するポイントが異なります。同じセリフでも字幕と吹き替えでは表現が異なっている部分が多くあります。文字という視覚的な要素を使用する字幕と、音声という聴覚的な要素を使用する吹き替え。それぞれ、どのようなところを意識して翻訳されているのでしょうか。

全文の翻訳が通用しない字幕翻訳

字幕は表示できる字数に限りがあるため、必要な情報を絞ってできるだけ短く表現することが必要です。さらに目で見てすぐ理解できるように、漢字や熟語を有効に利用することも大切になります。映像からわかるような情報は削ぎ落としてポイントだけを残すため、セリフが長くても字幕は一言だけ、ということもあるのです。英語をすべて訳すだけではうまくいきません。

『Let it go』の歌の中で、「let it go」と2回繰り返す部分がありますが、歌詞の字幕では同じフレーズを繰り返していません。英語自体も短いですが、パッと見てわかりやすい、素晴らしい名訳になっています。

アナやエルサになりきってセリフを考える吹き替え

吹き替えは、耳で聴いてすぐに理解できる言葉で訳す必要があります。字幕のように熟語を多用するとわかりにくいことがあるので、口語的な言葉を選びます。さらに、セリフを話している人物の口の動きに言葉を合わせたり、セリフの時間に合わせた長さに調整したりすることも大切です。

歌の吹き替えの場合は、メロディやリズムにも合わせる必要があります。たとえば、主題歌の『Let it go』が2回繰り返される部分の吹き替えは「ありの」「ままの」となっています。英単語が6つのところにうまく1文字ずつあて、「go」で口の形が「お」となっているところに「の」で母音を合わせているように、映像においてもメロディにおいても違和感の少ない言葉を選んでいます。何気なく聴いていた歌詞も、プロが熟考した表現であることが分かります。

まとめ

今まで何気なく観たり聴いたりしていた映画の字幕や吹き替えには、実は、字数や時間の制限、口の動き、メロディといった様々な要素と翻訳者との格闘があります。いつもは字幕派の人は吹き替え版を、字幕が苦手な吹き替え派は字幕版を観てみると、また違った楽しみが見つかるかもしれません。

また、今回の『アナ雪』のブームでは、字幕、吹き替えの翻訳の品質が高かったことに加え、作品のイメージを保つ慎重な声優選びや、プロモーションのうまさも大きな役割を果たしていました。翻訳を含めたディズニーのローカライズには、学ぶところが大きいのではないでしょうか。

お問い合わせ

翻訳サービスについてのお問い合わせはこちら

関連サービス

このページの先頭に戻る