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翻訳者派遣会社が送る、世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ

フランス「にわかグルマンのすすめ」

フランス

未知を求めて世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ。今回は美食の国フランスからです。

フランスを旅する楽しみの1つは"食"である。

「美食家」と一般的に訳されるグルマンだが、本来の意味は「食欲おう盛な人」という意味だそうで、「食いしん坊」としたほうが合っているように思う。

さて、そんなグルマンたちの国では、レストランやビストロで店員を呼ぶのは注文をする時だけではない。「これはどういう料理か」「今日のおすすめは何か」など、身を乗り出して質問を繰り返す。時には「隣の人が食べている料理は何か」と聞くこともある。

十分時間をかけてあれやこれやと検討する。グルマン(食いしん坊)たちの熱意に、店員は会話を楽しむ余裕と、職務へのストリクトな忠実さで応える。

旅行者だからといって遠慮する必要はない。

今日の気分は肉か、魚かと自問し、メインを肉(または魚)と定めたら、まずは前菜を決め、次にメインを肉(または魚)の欄から選ぶ。わからないことがあれば店員を呼んで相談すればいい。

ある港町のレストラン"La Tour(ラ・トゥール)"(トゥールは塔の意味。海辺の灯台近くのレストランだった)でのこと。
肉の欄に、初めて見るメイン食材を示す(と思われる)単語に遭遇、早速、店員に聞いてみた。ちなみに私のフランス語は、旅行前に慌てて仕込んだ単語を並べてなんとかする程度のものだが、ここはフランス。グルマンを気取って、切り込む。
想像で「鳥の一種か」と聞くと「そうだ」と言う。「うずらか」と聞くと「違う」と言い、丁寧に説明をしてくれるのだが、そこまでの理解力は残念ながら私にはない。「おいしい」という店員の言葉を信じ、どんなものか現物を見て味わってやろうと、それを注文することにした。

出されたのは、うずらに似た小型の鳥。ナイフとフォークで格闘し、勝利を収め、コーヒーで一息を付いていた、その時。
「あーー!!」 店の奥から大きな声が響いてきた。
ガチャガチャとした音も聞こえ、「皿でも落としたか」と思っていたところ、店員が何やら慌てて駆け寄ってきた。
手には1本のワインの瓶。「これよ、これ」というように、その瓶を指し示す。何のことやらわからず、ぽかんとしている私に、店員は熱心にラベルの絵を指しながら、何度もある単語を言う。
「あーー!!」
それが、さきほどのわからなかった食材を示す単語であることにようやく気づき、私も大声を上げた。
つまり、ワインのラベルに描かれた鳥こそ、今や私の腹に収まった鳥の生前の姿というわけである。ようやく私に理解させたことに満足し、「職務をやり遂げた」とでもいうように、店員はにっこりと笑って大きく頷いた。

"Au Revoir"
「また会いましょう」という意味の別れの言葉とともに手を振ると、総出の店員たちも「またね」と手を振り返す。
もう、料理の味は忘れた。鳥の名前も覚えていない。それでもあの時のやり取りに今も心は満たされる。
グルマンを気取るのも悪くはない。

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