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翻訳者派遣会社が送る、世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ

モロッコ・ワルザザード「ラクダでがに股歩き」

モロッコのワルザザード

未知を求めて世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ。今回はモロッコはサハラ砂漠の入り口、ワルザザードから、ラクダに乗ってお届けします。

つなぐ木も柵も何もない砂漠で、ラクダをどうやって止めておくかご存知だろうか。まず考えたこともなかったという人が大半だろう。

ラクダを坐らせてから、折り曲げた片方の前足を紐で結わくのだ。人間で言えば、太ももとふくらはぎをくっ付けた状態と言ったらわかるだろうか。ラクダは3本足でヨロヨロ立ち上がり、ケンケンと2〜3歩跳ねるように歩くが、諦めてまた座り込む。

そんな光景を私が目にしたのは、サハラ砂漠の入り口、モロッコのワルザザードである。3,000メートル級の山々が連なるアトラス山脈越えで冷えた身体をハリラというモロッコ版味噌汁で温めると、この町に来た最大の目的であるラクダツアーを手配した。
翌朝、私と友人の分の2頭のラクダを引いたトアレグ族(ベルベル人系の遊牧民)の男が現れた。青衣の民とも称されるトアレグ族の特長は、青いターバンである。虫除けの効果もあると聞き、私もバスの休憩時間に小さな売店で購入していた。今こそ出番とばかりに、それを頭に巻き、砂塵除けに口元を覆う。ちなみに海外ではマスクは忌避されるので、現地の人のスタイルに倣うのが得策だ。

ワルザザードの町を出ると、小さな草が所々に生えた砂道を進み、しばらくすると砂しかない世界へと突入した。何の目標物もない中を、トアレグ族の男は黙々と進んで行く。「ラクダは砂漠の船」と言うが、方向も何もわからない私にとっては、まさに「大海に浮かぶ木の葉」の気分。灼けつく砂を裸足で踏みしめ、躊躇なく歩みを進める男だけが、行方を知っている。

昼が近くなってきた頃、突如として砂漠の真ん中に1本の木が現れた。男はそれまでとペースを変えることなく淡々と木に向かい、ラクダを止めて坐らせた。ラクダが長い前足をガクンと折った拍子に、放り出されそうになるのを必死でこらえ、なんとか着地。砂の感触を味わう。
火を起こし、熱いミントティーを振舞い、大きく分厚い手をまな板代わりに器用に食材を切り、昼食の用意をしながら、男は砂漠ではしゃぐ私たちを不思議そうに見ている。
「日本には砂漠はないのか」
訳がわからないというように発せられた男の問いに、「こんな大規模なものはない」と答える。
「じゃあ、何があるんだ?」
「えーと、緑...、木や草や、コンクリート、ビルディング...?」
どう答えたらいいかわからず、しどろもどろに言葉を並べる。もはや小学生以下の英語である。

ほとんど雨が降らないワルザザードと違って、日本の年間平均降水量は約1,700mm...、とそんなところから説明すべきだったかと後になって思ったが、もう遅い。
往復約6時間、大股開きの姿勢でラクダに乗っていたせいで内股筋肉痛になり、数日間、がに股歩きを余儀なくされた私の頭に、「後悔先に立たず」の言葉がよぎった。

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