中国・成都「パンダにまつわるエトセトラ」|翻訳者派遣会社が送るエッセイ 未知しるべ

翻訳者派遣会社が送る、世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ

中国・成都「パンダにまつわるエトセトラ」

未知を求めて世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ。今回はパンダフィーバーに便乗し、数年前に訪れた四川省でのパンダにまつわるエトセトラをお届けします。

寒さが増す中、上野のパンダフィーバーは加熱の一途だ。

子どもの頃、上野動物園にパンダを見に行き何時間も並んだものの、ただお尻を向けて寝ているだけで、白い部分しか見えず、これでは白熊と何ら変わらないと、子どもながらにがっかりしたのを覚えている。

つまりパンダのパンダたる所以は、絶妙なバランスの白黒模様にあるということだ。雪深い山中でのカムフラージュであるとか、黒色部分は熱を吸収するためであるとか、白黒模様の理由には諸説があるが、未だ解明には至っていない。だいたいパンダの故郷と言われる四川省でも陝西省でも、雪が降る時期は限られているはずと、つっこみたくなる。
だが、パンダを本場・中国に見に行くなら、"雪降る頃"がベストシーズンであることは間違いない。というのもパンダの発情期は春、出産期は8〜9月が抜きん出て多く、ちょうど冬に向けてかわいい盛りの"見頃"となる。

私が四川省・成都の繁殖基地を訪れたのも、底冷えする季節だった。入口から一番の見所である幼年パンダが集められた通称"パンダ幼稚園"までは約2km。谷を渡り、竹林を抜け、大人パンダに足を止め、ようやくたどり着いた"パンダ幼稚園"は、パンダ好きにはまさにパラダイス!!
「今日は久しぶりに9頭揃ってラッキーだよ。昨日までは風邪でお休みの子もいたから」と、某動画サイトのパンダチャンネルのスタッフが教えてくれた。子パンダのかわいさを言いだしたら止まらなくなるので割愛するが、とにかく1日中見ていても飽きることはない。ただし、レストランは園内入口近くに集中しているため、昼をまたいで滞在する場合、歩行距離は相当になると覚悟あれ。

もちろん、園内にはカートも走っている。それに乗る気にならなかったのは、有料だからではなく、草木の茂みからひょこっと現れるパンダとの出会いに心が浮き立ち、歩くことが全く苦にならなかったからだ(翌日、筋肉痛になって少し後悔したが)。

見所は幼稚園以外にも多くあり、主演級の映画スターにも出会える。まずは「51(ウーイー)世界で一番小さく生まれたパンダ」の主役。
パンダは小さく生まれることで知られているが、なんと「ウーイー」の生まれた時の体重はわずかに51g。通常の3〜4分の1、玉子1個ほどの重さだ。「51(中国語の発音はウーイー)」と名付けられたか弱い命を救おうと奮闘する飼育員たちの姿はドキュメンタリー映画として日本でも公開された。ウーイーが立派に育ち、元気に暮らす姿をぜひ見てほしい。

そしてハリウッド映画の主役とご対面のチャンスも!「ポー(役名)のモデルはこの子」とパンダチャンネルのスタッフ。「映画製作スタッフが来ていた時に、ちょうどこの子のところに孔雀が飛んで来ていてね、パンダとまるでじゃれあうような様子だったんだ」。シリーズ2の孔雀とのファイトシーンが生まれた背景を聞きながら、もう一つ師匠がレッサーパンダであることにも「そういう訳か」と合点がいった(もう何の映画かおわかりでしょう)。
実はポーの生まれ故郷である成都パンダ繁殖研究基地には、広大なレッサーパンダエリアがあるのだ。レッサーパンダエリアの小径を行くと、目の前を横切るレッサーパンダ。写真を撮ろうとカメラを構えるが、カメラに興味を持ったのか、どんどん近づいて来る。慌ててシャッターを切った写真は、まるで魚眼レンズで撮った犬のよう。師匠の落ち着きにはほど遠い残念な仕上がりだった。

そして日本人として忘れてはならないのが、浜家族への挨拶。和歌山県白浜市のアドベンチャーワールドで生まれたパンダたちは適齢期になると繁殖のために中国に帰るのだが、彼らは「○浜」という名前のため、浜家族と呼ばれている(中国語の表示板にも、そう記されている)。
美人と名高い「愛浜(あいひん)」もそんな浜家族の一人だ。「愛浜はツンデレなんだよ。並みいる男たちを袖にして...」とぼやくスタッフ。「デレの要素が感じられないんだけど?それは女王様キャラなのでは?」と思いつつも、「いつかデレを見たいということね」とテキトーに解釈。実はその後、愛浜は死産という悲しい結末を乗り越え、2017年に双子パンダを出産したといううれしいニュースも。美人パンダの「デレ」はどんなだっただろうか。

絶滅危惧種であるパンダの繁殖は、研究の中でも大きなウエイトを占めている。基地の名物"パンダ釣り"も、実は繁殖と無関係ではない。"パンダ釣り"は、飼育員が柵の外から釣り竿の先に"パンダケーキ"の餌を付けて、パンダの頭上に垂らし、鼻先のニンジンよろしく、後ろ足立ちになったパンダを右へ左へと翻弄するもの。ウロウロするパンダがかわいいと観光客に大人気だが、これには自然界に比べてどうしても運動不足になりがちな動物園のパンダの足腰を鍛え、来る繁殖行動に備えるという意味がある。

また、野生化プロジェクトも進められている。そのプロジェクトの主要拠点である都江堰基地も後日訪問。縄張り争いに破れて死亡するなど痛ましい出来事もあることを知った。野生化訓練エリアは立ち入り禁止で、パンダの様子は窺い知れないが、どうか無事であってほしいと祈らずにはいられない。

パンダによる経済効果や高額なレンタル料が取り沙汰されることが多いが、レンタル料の使い途の一つでもあるこうした野生化プロジェクトや保護の実態にも目を向けたい。

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