タイ・チェンマイ「バイクに導かれて」|翻訳者派遣会社が送るエッセイ 未知しるべ

翻訳者派遣会社が送る、世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ

タイ・チェンマイ「バイクに導かれて」

未知を求めて世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ。今回は数十年前に訪れたタイのチェンマイ、海外で初めてバイクをレンタルした時のこと。バイクの「お導き」は想像を超えたものでした。

バイクで山頂寺院を目指す

「タイでは国際免許証でなくてもバイクをレンタル可能」というガイドブックの言葉を信じて(数十年前のことなので現在は不明)、ホテルの裏手にあるバイクショップへと向かった。恐る恐る1日レンタルしたい旨を切り出すと、あっさりとOK。免許証の提示すら求められなかった(あくまでも数十年前の話)。

いわゆるスーパーカブ的なバイクで、足でギアチェンジをするタイプだ。交差点の信号が青に変わり、車もバイクも一斉に飛び出す。私も慌ててエンジンをふかし、1速から2速へとギアを上げるのだが、その落差がすごい。ブンという感じで前に飛び出す。ギアチェンジになれていない私にはなかなかスリリングな体験だ。しばらく町中を巡って慣れたところで、いよいよ目的地であるワット・プラ・タート・ドーイ・ステープへ。ステープ山の山頂にあり、チェンマイ市街を一望できるという、これまたガイドブックの言葉を信じて、標高1080mのステープ山に挑む。道は整備されているものの、大型トラックとすれ違う際には、路端の砂利道を走らなければならない。ガードレールも何もないので砂利に足をとられて転ばないように注意が必要だ。

何とか上りきり、無事に目的地に到着。ここまで無事に来られたことの感謝と、この先の旅の安全を祈願した。待望の市街一望は残念ながら曇っていて、期待していたほどでもなかったが。

折れたミラーの代償

上り以上に気を遣う下りも何とかクリアして町中に戻った頃、すでに昼の時間を過ぎていた。食堂の看板を見つけハンドルを切ると...。ずずずっと駐車スペースの砂利に足をとられ、そのまま横倒しに。左の膝を擦りむいた程度でケガはなかったが、ミラーが哀れにもぽっきりと折れ地面に転がっていた。

「せっかく山頂寺院をクリアしたのに、まさかこんなところに落とし穴があるとは」

悔しく思うと同時に、山道で転んだのでなくてよかったとも思う。まずは腹を落ち着かせてからと食事をし、いったんバイクショップに向かうことにした。

バイクショップで事情を話すと(というより、折れたミラーを見せれは話は通じた)、店員の彼は心得たように頷き言った。

「ミラーを買いに行こう」

弁償とかの話になるのだと思っていたがどうやら違うらしい。店員の彼に連れられて、片ミラーのバイクに乗り部品を売る店に向かう。ミラーの値段は400円ほど。支払を済ませたミラーを彼がその場で取り付けてくれ「はい、これで大丈夫だよ」。

バイクの彼と看護師の彼女と微妙な私

「それよりもケガは大丈夫?」と心配したくれた彼に、「膝を擦りむいただけだから」と答えると、「僕の彼女が看護師をしているから、彼女の家に行こう」と。「いやいや、大丈夫だから」と言っても「すぐ近くだから」とバイクで走り出す。仕方なしに後を追うと、日本で言う長屋のような家に到着。いつの間に連絡したのか彼女が外で待っていてくれた。

彼女は私を招き入れると、消毒液で丁寧に拭い絆創膏を貼ってくれた。彼女は英語は話せないようだが、笑顔で「心配ない」と伝えてくれた。図々しくもトイレまでお借りし、思いがけずタイの普通の人が暮らす家を見る機会に恵まれてしまった。これは山岳寺院のご利益かもしれない。

丁重にお礼の言葉を述べて別れた、としたいところだが、残念ながらタイ語のありがとう「コップンカ」と英語の「サンキュー」を繰り返すことしかできない能無しだ。気の利いたお土産の一つでも持ってくればよかった。

そんなことを考えていると、彼からさらなる提案が。「滝を見に行かないか」というのだ。特に予定を決めていたわけではなかったので、一緒に行くことにした。が、これが間違いだった。せいぜい10〜20分の近所だと思ったのに、なんと片道1時間30分!それだけかけて行った先の滝は、岩の間から清水がチョロチョロと出ているという感じで「これ滝か?」と思わず日本語でつっこみたくなるようなもの。「写真を撮ってあげる」という彼の好意を無下にもできず、滝(?)をバックに微妙な顔をした私の写真が今も残っている。

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