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ジョージア「一泊二食、飲み放題付き」<トビリシ編>|翻訳者派遣会社が送るエッセイ 未知しるべ

ジョージア「一泊二食、飲み放題付き」<トビリシ編>

翻訳者派遣会社が送る、世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ

未知を求めて世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ。前回に続き、ワインの国ジョージアを実感したエピソード。今回の舞台は首都トビリシのホテルです。

よそゆきボトルが並ぶワインショップ

メスティアに続き、クタイシの名物宿「メディコ&スリコの宿」では、一度手に持ったら、飲み切るまで置くことができない角型の盃で自家製ワインを飲み、さらに山間のカズベキでは6リットルぐらい入りそうなポリタンクに入ったワインが登場!と、すっかりワイン発祥の国で「一泊二食、飲み放題付き」を満喫し、首都トビリシに帰着。明日は日本に発つとあって、荷造りもしなければならない。さすがに最後の晩くらいはゆっくりと過ごすかと、ここにきて初めて民宿ではなく、小規模ながらホテルを選択。

荷物を下ろし、お土産用にジョージアワインを購入しようと、ワインショップへ向かった。レストランで頼むことはあっても、そう言えばショップでワインを見るのは初めてだ。毎日、ワインを飲んでいたはずだが、麗々しくボトルが並ぶさまは、どこかよそよそしく、まるで別物のように見える。化粧っけのない近所の子どもが、よそゆきの装いで突然現れ、気取ったポーズを決めている...そんな感じで居たたまれない。

もともとワインに造詣が深いわけでもなく、こまっしゃくれた娘(に見えるワインたち)の相手をしても疲れるだけ。店員に決めてもらうのが一番だ。いわく「1本をお土産用に、バックパックでも割れないように、できれば箱付きのもの。もう1本を今日の晩酌用に、ジョージアで一番ポピュラーなものを」

店員は心得たとばかりに、居並ぶボトルから2本をチョイス。1本を箱に入れ、瓶との隙間に紙を詰め込んで渡してくれた。

最後の晩を締めくくるワイン

殺風景な部屋よりはと、部屋がある2階の廊下突き当たりの小さなベランダで飲むことに。屋外用の鉄製の透かし模様を施した丸テーブルと椅子もあり、快適だ。友人と2人で今回の旅を振り返りながら飲み進める。ボトルも空になり、そろそろ引き上げようかと思いつつも、部屋に戻れば旅の終わりを実感せざるを得ず、立ち去りがたい。

トントントントン...

軽快に階段を駆け上がる音が聞こえたと思うと、1人の男が現れた。1階のロビーでたむろしていた連中の1人だ。客かと思っていたが、どうやらホテル側の人で、椅子を片付けにきたらしい。「そのまま、そのまま」と、立ち上がりかけた私たちを手で制すると、持っていた椅子を下ろした。

「ジョージアのワインは美味しいね」

男の視線の先を察してそう言うと、男はボトルを手に取りしばしラベルを見た後、ボトルを持ったまま階下へと立ち去った。

トントントントン...

再び、軽快な足音を響かせて戻って来た男の手には満タンになった先ほどのボトルが。いわく「(中身は)うちのワインだ!」

何はともあれ、もれなく飲み放題付き

「乾杯しよう」

  

新たにワインがグラスに注がれる度、乾杯を繰り返す。ジョージアでは乾杯前に、「お題目」を唱えるのがルールだ。

「うーん、今度は何にしよう」

  

「私たちの友情に、は?」

「それはもう言った」

  

そんなやり取りの後、ジョージア語で何やら長々と文句を唱え、ようやく乾杯となる。気が付けば、彼の弟だという男がもう1人増え、民宿とさして変わらぬ状況になっていた。

ボトルが二度目の空になり、さすがに引き上げ時だと感じ、立ち上がる。

「まだワインはあるぞ」

「いやいや、明日、飛行機に乗れなくなるよ」

「それなら、日本に持って帰ればいい」

空ボトルで客を返すのは失礼、そんなルールがジョージアにあるかは知らないが、彼らのホスピタリティは本物だ。

「ホテルでも、食事はなくとも、もれなく飲み放題付き」、ワインの国ジョージアを実感する最後の晩になった。

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