トルクメニスタン「乗り継ぎの多い国境」|翻訳者派遣会社が送るエッセイ 未知しるべ

翻訳者派遣会社が送る、世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ

トルクメニスタン「乗り継ぎの多い国境」

未知を求めて世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ。今回は、ウズベキスタンからトルクメニスタンへの陸路での国境越えの様子をお届けします。

プレデターの赤い光線

コロナ禍が蔓延する中、非接触型体温計を目にすることも多くなった。店舗入口で、店員さんが「検温、よろしいですか」と言いながら、レジの商品バーコードリーダーのような形状のものを額や手首に向けてピッとする、アレだ。

私がアレを初めて見たのは、トルクメニスタン入国の検問所だった。「検温、よろしいですか」のお声掛けもなく、髪をひっつめ、制服に身を包んだ女性オフィサーにアレを額に向けて構えられた時は、映画「プレデター」の標的になった気分だった。赤い光線が発せられることなく、次の工程に進むことができた時はホッとした。

ちなみに次の工程では入念な荷物検査。バッグの奥まで穿り返され、常備薬について一つひとつの説明を求められる。「それは頭痛用、これは胃痛用...」葛根湯を表現する英語が出て来ず、適当にやり過ごす。

「これは?」

オフィサーが次に見つけたのは、サイダー飴と塩タブレット。

"It's a just candy ."

そう言って、「おひとつどうぞ」と男性と女性のオフィサーに差し出す。男性は受け取り、女性は固辞した。男性はばつの悪そうな笑顔を女性に向け、「キャンディだって」と振ってみせている。

そんなやりとりの後、ようやく解放され、次の工程へと進むことが許された。

国境帯をゆく

実は、この検問所のメインとなる建物の中での工程以外にも、トルクメニスタン入境にはいくつかの工程がある。

まず朝早くに、ウズベキスタンのヒヴァから車で1時間ほどかけて国境ゲートに到着。警護の兵士にパスポートを見せて、ゲートを開けてもらう。そこからウズベキスタン出境の検問所まで、徒歩で数分。建物内で出国手続きをすませ、出口へと向かう。そこには1台のミニバンが待っていて、人々が集まれば出発だ。

ミニバンが止まり「いよいよトルクメニスタンか」と下りてみたものの、そこにあるのは鉄のフェンスだけ。見渡す限りに建物はない。

どうやらここが本当の"国境"のようだ。鉄フェンスの脇に立つ、トルクメニスタン側の兵士に再びパスポートを見せ、ようやく国境を越える。「ここでバスを待て」と言われ、待つこと30分ほど。ようやくバス(ミニバン)が現れ、滞留していた人々を積み込み、出発する。ガタコトと未舗装の道路を揺られて進んだ先に、ようやく検問所らしき建物が見えてきた。

その建物で、件の検温やら、荷物検査やら、書類提出やら、とにかく多くの工程を踏み、ようやく解放され、そこから入国ゲートまでは徒歩。ゲートを抜け、時計を見てみたら、ウズベキスタン出国からトルクメニスタン入国までちょうど1時間半が経っていた。

後で聞いた話では「それでも早いほう」らしい。団体旅行だと早くても3時間、長いと5時間ほどかかることもあるのだとか。

国境越えの必携品

国境越えの「工程」は総括すると以下のようなものだった。

ゲート→徒歩→検問(ウスベキスタン出国)→バス→ゲート(国境)→バス→検問(トルクメニスタン入国)→徒歩→ゲート

ちなみに、この両国の国境帯で運行されているバス(実態はミニバン)は空港などの連絡バスと違い、有料だ。しかもウズベキスタン側ではソム、トルクメニスタン側ではマナトと、それぞれの現地通貨で要求される。すでに出国の手続きを済ませた後、これから入国の手続きをしようとする時に、である。住民ならいざ知らず、旅行者が持っているわけがない。

そんな時に役立つのが、1ドル札だ。まだまだキャッシュレスにはほど遠い世界、まさに「持っててよかった」である。陸路での国境越えには、1ドル札2枚と気長さが必携と言えそうだ。

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