キューバ「コー・オペレーション」|翻訳者派遣会社が送るエッセイ 未知しるべ

翻訳者派遣会社が送る、世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ

キューバ「コー・オペレーション」

未知を求めて世界を旅するヤマ・ヨコのエッセイ。旅のスタイルは人それぞれ。どんな旅をするのかはその人次第ですが、キューバでは最初の行動でその先が決まることもあります。

旅のスタイルを決める最初の一歩

キューバでの旅のスタイルは、双六のように最初に出た目で決まる。

日本からホテルを予約し、ホテル前に並ぶタクシーに乗り、次の町へと移動すれば、スムーズに旅することができるだろう。

「それでは味気ない」と思うなら、ホテル前からタクシーには乗らないことだ。私の場合、バスターミナルに向かったものの、目指すバラデロ行きバスのチケットが取れず、仕方なしにターミナルで声をかけてきたタクシーに乗ることにした。もちろん値段交渉をした上での乗車であったが、後で聞けば、ホテル前のタクシーに乗った人は私が払った値段の約1.5倍、空港から乗った人は約2倍もしていた。もちろん、目的地は一緒だ。「バスで行こうとしていたくらいだから、あまりお金を持っていないんだろうな」と、こちらの懐事情を汲んでのリーズナブル価格を提示してくれたのかもしれない。

そしてタクシードライバーに「適当な宿に連れていってほしい」とお願いすれば、まさに"適当"つまり、ベストマッチな宿に連れていってくれる。つまりホテル前から乗車すればホテルに、バスターミナルからバックパックもろとも乗り込んだ私には、格安の家族経営宿という具合だ。バラデロでタクシーが連れていってくれたのは、パステルグリーンの小さな四角い家。家族が住む母屋に隣接した離れを宿として提供しており、小さな庭付き、朝食には山盛りのフルーツが付く。もちろん大満足だ。

市井の人が紡ぐ"コー・オペレーション"

実はキューバで、こうしたいわゆる民泊が解禁されたのは最近のこと。社会主義国のため、公営が原則だが、レストランやゲストハウスなど、政府に届出をして許可を得たものに限り、少しずつ民営も増えてきている。とはいえ、そうした情報を日本で入手することはまだ難しく、タクシードライバー任せとなる。 こうした民営宿のメリットは宿泊代の節約だけではない。彼らはいろいろなネットワークを持っている。インターネットはなくても、いや、ないからこそ人的ネットワークが発達していると言えるのかもしれない。「この町に行きたい」と相談すれば、格安の乗り合いタクシーを手配してくれる。公共交通機関が皆無に近いキューバで、都市間交通は「乗り合いタクシー」というのが常識なのだ。大きな荷物を持った地元の人や各国のバックパッカーを混載したタクシーで次の町に着けば、また"適当"な宿に連れていってもらえばいい。

前記事の舞台、ハバナの宿「カルメン&ウィリアム」も、こうした経緯で流れ着いたものだった。

カルメンには乗り合いタクシーだけでなく、次の目的地であるビニャーレスの宿の予約までしてもらった。その時、カルメンが発した言葉はまさにキューバを旅するキーワードだ。「(ビニャーレスで宿を営むマリアと)お互いにお客さんを融通しているの」、そして一音一音区切るようにして「コー・オペレーション!」、そう言うとカルメンはニコッと笑った。

英語のcooperationはcon(一緒に)とoperate(働く)が一緒になった言葉。「協力」や「協同」、さらには「協同組合」などと訳されることもある。"コー・オペレーション"と二語に区切ったカルメンの言い方は、その原義を思い出させ、「まさに!これぞコーポレーションだ」と手を打ったものだ。

キューバに行ったなら、ぜひデジタルの世界を離れ、市井の人が紡ぐ"コー・オペレーション"の網に身を委ねてみてほしい。きっとガイドブックやインターネットには乗っていない人や景色に出会うことができるはずだ。

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