翻訳キャッチコピーはどうやって作られる?~全貌お見せします │ アークコミュニケーションズ翻訳会社の社長ブログ

マリコの経英~楽しく正しく新しい翻訳会社の経営「翻訳キャッチコピーはどうやって作られる?~全貌お見せします」

翻訳キャッチコピーはどうやって作られる?~全貌お見せします

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キャッチコピーが直訳ではダメな理由

アークコミュニケーションズはスキーオリエンテーリングというウィンタースポーツを応援しています。アークコミュニケーションズスキーチームには、なんと全日本チャンピオンまで在籍しているんです。詳しくはスキーチームのホームページをご覧ください。

オリエンテーリングというスポーツの名前は、知らない人に「オリエンテーション」と言い間違えられることがよくあります。それもそのはず、語源は「orient」で一緒だから。「東の方向を向く」という意味があり、転じて「正しい方向にものを向ける」という意味に使われるようになりました。

先日、そのスキーオリエンテーリングの普及・振興を図る団体の(公社)日本オリエンテーリング協会が、「地図を手に明日へと駆ける」というキャッチコピー(スローガン)を作成しました。それを使ってTシャツを作ることになったのですが、デザインのバランス上、アルファベット(英訳)で書いたほうがしっくりするという話に。

そこで、アークコミュニケーションズの翻訳の出番です。

キャッチコピーはそのまま訳してもうまくいきません。なぜなら、

理由その1:長さの問題
日本語は漢字の威力もあり、とてもコンパクトに表現できます。
同じように英語でもコンパクトに表現したい。
ロゴの近くに書かれることの多いキャッチコピーは、使い勝手を考えなければいけません。

理由その2:口調の問題
日本語で5・7調に収めるなどの工夫をするように、英語も口調良く作りたい。
それも、思わず口ずさみたくなるように。

理由その3:外せない基本コンセプト
思い入れのあるキーワードを使いたい。
しかし、捉われ過ぎると収まりが悪くなります。

それでは、わたしたちが英語のキャッチコピーを考える時の実際のプロセスを社員同士の会話でお見せしたいと思います。

キャッチコピー制作の全貌

1. できるだけ原文に沿って忠実に訳すフェーズ

「原文に忠実に訳すと"Grab a Map and Run Towards the Future"かな?」
「"Grab"から始める意味がある? "Run Towards the Future with a Map"でいいのでは?」
「どちらも面白くないね」
「長くてインパクトがない」
「でも、言いたいことはそういうことなんだよね」

2. 「外せないコンセプトは何か」について話をするフェーズ

「『地図を使う』という競技特性は外せないでしょう? "Map"という単語は使わなきゃ」
「競技の特性上、未来志向のニュアンスが必要では?」
「そもそも競技だとわからせるために、スピード感や競技の魅力を伝える躍動感が必要なのでは?」
「『頭を使うこと』『計画すること』が際立った競技だよね? "Running"との差異化要素は必須だと思うな」

わたしがクライアント側でもある((公社)日本オリエンテーリング協会の理事をしている)ので、もしメンバーの基本コンセプトに対する理解がズレたら、その場で修正できるので今回はとても楽でした。

3. 口調を意識するフェーズ

「"動詞and 動詞"の組み合わせは悪くないね。"Plan and Run Towards the Future"はどう?」
「"Map"という単語を使わないのは、ないんじゃない?」
「オリエンテーリングに地図を使うのは当たり前なんだから、むしろ"Map"を使って何をしているのかにフォーカスしたほうが良い。"Plan"でしょう?」
「そうだ、"Plan"を使うのなら、"Map Out"を使ってみてはどう? "Map Out Your Future!"」
「お~! それいいね!」
「でも、日本人には"Map Out"って言われて、すぐさま"Plan"の意味を思いつきにくいな」
「でも、"Map"というキーワードが入っているからいいんじゃない?」
「いやいや、"Map"という単語は使うけど、意味が違うよ!」
「"Map Out"の語源は『地図に精緻に記す』だから、意味は同じ」
「"Map Out"を使うのなら、"Map Out New Trajectories"のほうがインテリっぽい!」
「"Map Out New Horizons"のほうがオリエンテーリングっぽくない?」
「日本人だけでなく、誰にでもわかりやすい単語を使うことは大事だよ。"Future"に1票」

4. あえて欠点を言ってみるフェーズ

「"Map Out Your Future"は確かに口調がいい。ただ、"Map"と言うキーワードが入ったけれども、競技らしくないよね」
「うん、躍動感に乏しいかもね」
「競技っぽくしたいのなら、"Ready, Get Set, Go!"に倣って、"Ready, Map Out, Go!"なんてどう?(笑)」
「それいい! 『位置について、よ~い、ドン"ならスピード感がある』」
「いやいや、それはおふざけが過ぎるよ」

5. まとめのフェーズ

「しいて言えば、競技のスピード感を十二分に表現しきれていないけど、『地図を使って考える』という競技の特性は、"Map Out Your Future"がコンパクトに表しているんじゃない? 日本オリエンテーリング協会が日本語のキャッチコピーに込めた重要なコンセプトを拾っているよね」
「(大里)今まで黙っていたんだけどさぁ、"Map Out"ってオリエンティア(オリエンテーリングをする人)には別の意味があるんだよね」
「えっ? それはなんですか?」
「(大里)わたしが時にやっちゃうんだけどさ、『Map Outしちゃった~!』と言えば、『地図の外に出てしまった』という意味。つまり、地図上にある地点に行かなければいけないのに、とてつもないヘマを競技中にしたってことよ。」
「ええ~! そんな大事なこと、最初に言ってください!」
「でも、それって和製英語ですよね」
「(大里)うん、そう思う。だから、そういうダブルミーニングもあって面白いんじゃない?」
「そんなおふざけがアリなら、"Ready, Map Out, Go!"もアリじゃないですか」
「いやいや、その話はもう終わったんだから収束しようよ。でも、第2候補向けには残そう」
「それじゃ、第1候補は"Map Out Your Future"、第2候補は"Ready, Map Out, Go!"、 第3候補は"Plan and Run Towards the Future"で」

できあがったTシャツ

案の定、「え~、"Map Out"?」という声がオリエンティアから挙がったが、結局(公社)日本オリエンテーリング協会は第1候補を選択しました。

キャッチコピーやキャッチフレーズを考えるときは、こんなことを楽屋でしているんです。これは、なかなか楽しい作業です。しかし、知恵も時間もエネルギーも、相当かかっていることもおわかりになっていただけると思います。

できたTシャツはこんな具合になりました。

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Vision Tシャツ

英文キャッチコピーや英文キャッチフレーズの作成については、ぜひ、アークコミュニケーションズにお問い合わせを!

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