「I am asking!!」のトラウマ │ アークコミュニケーションズ翻訳会社の社長ブログ

マリコの経英~楽しく正しく新しい翻訳会社の経営「「I am asking!!」のトラウマ」

「I am asking!!」のトラウマ

質問をしているのに,I am asking

聞きなおすことの罪悪感

留学したてで英語があまり上手じゃなかったころ、1、2度くらいは「Pardon?」と聞きなおしましたが、それでもわからないと、それ以上は聞きづらいものでした。仕方がないから、「Yes, Yes」とうなずくしかありません。しかし、しばらくすると......「I am asking!!(わたしは質問をしているのに、なんで「はいはい」言うの?)」と言われてしまいます。

こんな経験をした日本人は少なくないと、わたしは信じています。うちの夫などは、「僕の一番嫌いな英語のフレーズは『I am asking!!』だ!」と憤るくらいですから。

これは文化の差でしょうが、わたしより英語が下手な英語Non-Nativeには、何度も何度も聞きなおす人が多くいました。アメリカ人も根気よく、何度も同じことを繰り返し答えます。「いいかげん、諦めたらいいのに」なんて、実は当時のわたしは思っていました。

わからないことをわからないままにして、「はいはい」とうなずく方がよっぽどいいかげんなのですが、当時は「相手に悪い」という気持ちがあったし、何度聞いても理解できる自信がありませんでした。そして、何度も聞きなおすこと自体も恥ずかしかったのです。

しかし、それはしょせん、学生のなまぬるい世界の話で、良い人ばかりに囲まれていたからこそ許されたこと。その後、ビジネスで中国に駐在した時に、そんなことを嫌と言うほど学び、今はわかるまで何度も聞きなおすようになりました。

異なるバックグラウンドの人とコミュニケーションをとる時は、仮に言葉が通じていたとしても誤解は生じやすい。まして、言葉が通じないままにするなんて、危険が大きすぎます。

「?」の有無で180度変わる解釈

「I'm not saying, I'm asking(今は話しているのではなく、聞いているんだよ)」というフレーズを聞くと、コミュニケーションスキルにはイントネーションも大切なことを痛感します。プレゼンをする時にイントネーションが悪かったせいで、「今のは質問? 断言? それとも修辞疑問?」という反応は、日本人にとってありがちじゃないでしょうか。

外国人の社員から、日本語について同じような話を聞きました。日本人が丁寧語で話す時は、「大丈夫ですか」のように疑問詞の「か」が付くので明確に質問だとわかりますが、お互い馴れ合ってくると、解釈に困ることが多くなるそうです。

例えば、単に「大丈夫」と言われても、「大丈夫だよ!」なのか、「大丈夫なの?」なのか不明なことがよくあります。わからないのでそのままにしておくと、「なんで答えないの?」と今度は半ギレされてしまうことさえある(泣)。

こちらはライティングの話ですが、英語特有の疑問文の使い方をご紹介しておきます。各社のコーポレートサイトの英語版には、よく「A社の特徴」の意味で「Why A」と表現することがあります。それを見て、「『Why』で始まるのに『?』が無くて大丈夫だろうか?」と思ったことはありませんか。

実は、この場合の「Why」は「なぜ?」という質問ではなく、「A社を選ぶ『理由』」という意味になります。英語で丁寧に言えば、「These are the reasons why to choose A」と言うことです。

では、あえて「?」を入れて、「Why choose A?」とするとどうなるでしょうか? 実は疑問文どころか、ネガティブな意味にも捉えかねない解釈にガラリと変わってしまう可能性が出てきます。もちろん、「A社を選ぶ理由は?」とポジティブにも翻訳できますが、一方で「一体、なんでA社を選ぶわけ?」とネガティブに捉えることもできるようになってしまうのです。

なので、コーポレートサイトでは「?」は入れないほうが良さそうですね。

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